本書の全編を通して書いている通り組織としての軍隊には百害あって一利もありません。

私は「自衛隊も米軍も日本にはいらない」と本書のタイトルに書いて防衛省廃止、自衛隊の非軍事組織への衣替え、そして新官庁、防災平和省の創設、国際災害救助即応隊ジャイロの創設を訴えていますが、この目標を実現するにあたっては色々気を使わざるを得ない難しさもあります。

特に自衛隊基地周辺にお住まいの皆さんにとって近所で生活する自衛隊員家族は親しい隣人でもあります。隣人の自衛官が自分の子供と同級生のご両親であることもあるでしょう。

そんな隣人の目の前で「自衛隊を廃止しよう」などとは言いにくいのは当然です。しかしご注意いただきたいのは私の提案は血も涙もない単なる自衛隊廃止案ではなく読めばすぐにわかるのですが非軍事人道支援組織への衣替えの提案です。自衛隊への入隊動機も人それぞれでしょうが実際に戦地に行って戦争がしたいと思う人はまずいないと思います。自衛隊員として生活の糧を得ている人、家族には何も世間から非難される理由はありません。むしろ災害救助活動などでは国民のみなさんから親しまれ感謝される存在です。このことからも既に存在している基地の反対闘争に基地周辺の人たちが声を上げにくい気持ちはよくわかります。だからこそ平和運動は平和の間にしか、基地反対闘争は基地ができる前にしかできないのです。鹿児島県西の表市の馬毛島で計画されている米軍基地(硫黄島からの移転)は建設が始まる前に計画を撤回させなければいけません。ピースアゴラの同志で最近亡くなられた大阪在住の鹿児島県出身の男性も命を削って馬毛島に通い「一人デモ」による反対運動をされていました。

だから辺野古新基地建設でも沖縄と無関係な遠方から支援者がデモの応援に向かうのは決しておかしいことではないのです。沖縄のウチナンチューの人たちは基地経済の恩恵をいささかでも受けた歴史(本当は負担ばかりなのですが)も頭にあり複雑な気持の人たちが大勢いることを私たちは理解しなければなりません。

とりわけ基地問題は外交に関わることであり中央政府の専権事項であると政府が言うのですから政府のおひざ元にいる私たちが選挙で、或いはデモで反対の声を上げなければ誰があげるでしょうか。日本中の米軍基地面積を寄せ集めれば980平方キロにもなります(本書132,133ページ)。東京都の面積の約半分の面積を占領している米軍をさておいてやれ尖閣だ、竹島だ、北方領土だ、というのはどこか違うのではないか?しかしこの占領状態を独立国らしく変えるのは私たち一般市民有権者です。私が原爆忌に出席する途次に立ち寄った長崎県佐世保基地、山口県岩国基地(ともに米軍、自衛隊共用基地)の周辺住民にとっては基地そのものが戦前の帝国海軍時代からのものであり親近感も手伝って基地反対闘争は、やりにくい面もあることを感じました。これも実は日本が一応平和でいられるからなのですが。

東日本大震災被災地慰問の出前音学会で岩手県などを訪れた帰途に青森県にある米軍三沢基地を訪ねて近所の住民に取材をしたことがあります。三沢基地も戦前は帝国海軍の飛行基地でした。米軍の払い下げ品と思われる米軍グッズを売っている店にも行きインタビューもしましたが店のオーナーの女性は「三沢基地は米軍の中でも上級幹部が多く犯罪の話もあまり聞かない」とすっかり基地が住民の生活の中に溶け込んでいるかのようです。

ただ目に付くのは米軍人の異様な軍服姿と、どの基地の周辺にも必ず自衛隊OBの自民党国会議員候補者の写真入りポスターがやたらアチコチに掲示されていることです。

恒久平和を実現して軍隊のない明るい平和な未来を築くため私たちは活動しています。

この活動の結果守られるのはおい先短い私たちではなく前途洋々の若い皆さんです!!

本書「自衛隊も米軍も、日本にはいらない」はこのホームページ「ピースアゴラ」に掲載されている記事などを背景に持ちながら書き上げたものです。

若い世代のみなさん!!是非手に取って読み、賛同したら真の恒久平和実現のために一緒に立ち上がってください。

2021年8月27日アフガニスタンのカブールでイスラム国による自爆テロ発生のニュースに接し非暴力の尊さを実感しながら 記

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