政治的主張をする著作や論考に対しては必ず立場や考えの違う人たちから反論がでますから本書の主張についても当然反論があるのは想定していました。批判は、返ってこの問題への関心を呼び起こし議論を深めることになるので私は大歓迎です。

戦後の保守政治は一貫して「自衛隊・米軍がなくなると万一の際に心配」と思う人たちの漠然とした不安感や自衛隊を災害救助隊と誤解して感謝している庶民感情をいいことにコアーの保守層の支持を取り付け政権の維持安定をはかってきました。

本書に対する代表的な批判コメントをまとめると理想と現実は違う②現実が全く見えていない又は見ようとしていない妄想家の戯れ言③矛盾に満ちた内容、楽観論でしかない④隣国の99%の人はいい人かも知れないが1%の悪者がいて日本が無防備とわかれば裕福な日本征服を虎視眈々と狙う。⑤個人の家同様、国も戸締りが必要だ。

ざっとこんなところでしょうか?

この疑問に対する答えは本書で既に書いてあることの繰り返しになりますが以下手短にまとめます。

“攻められたらどうする?“の不安から来る一般市民の疑問にたいして本書は「日本は攻められる心配をする必要がそもそもない」と書いています。しかし私もただ心配無用と言っても不安心理は感情の問題なので簡単には消えないと思うとも書きました。

「攻められたらどうする」と心配する人の大半は「安心のために国の戸締り(鍵の役割を持つ)強力な軍隊が必要」と考えています(本書112ページ)。これに対して私は「いくら世界最強であっても軍隊は国の戸締りの代わりには絶対にならない」こと、家の戸締りと国の戸締りはまったく違って軍隊の存在は戸締りにならないばかりか返って泥棒を刺激してあらたな犯罪を助長さえしかねないと考えています。

国をすっぽりとカバーする覆いをかけることができれば鍵もかけられます。

Olympic選手村さえバブルと称して全体をカバーして外界と遮断するからコロナの感染の心配は無用だと言っていたのに全く思惑通りにはいかなかったのですからまして国のカバーなど到底無理です。

現実問題、今日の兵器技術の超速の進歩により完全な制空・制海権の確保は技術的・物理的に絶対不可能なことは明らかです。(本書142ページ)

したがって唯一の解決策(不安に対する答え)は外国から攻められることが起きないように日頃すべての外国と仲良くし平和外交、人道支援活動(ジャイロ)を進めて外国が日本を攻める動機を一つずつ潰していくことです。

現実的な方法はこれしかありません。

「攻められたらどうする?」ではなく「攻められる心配がないようにするには日頃からどうする?」を実践することこそが唯一の現実的政策です。

偶然でしたが今朝の羽鳥モーニングショーが北朝鮮などからのミサイル攻撃に対する防衛の問題を取り上げ出席していた玉川徹氏が私と全く同じ意見を述べていました。

そのことを具体的に書いているのが本書です。「軍隊と最新兵器で外敵の襲来を未然に防げる」などと考えることのほうがずっと現実を理解しない夢想家的な戯言(ざれごと)ではないでしょうか。

いくら最善を尽くしても、それでも攻めてくる不法な国などがあればその時こそ私たちは抵抗(反撃)せずに、しかし独立国としての矜持を持って非暴力で不服従を貫こうではありませんか。(本書102ページ)

万一不当な侵攻に自衛と称して反撃にでればそれこそ日本全土は放射能汚染で焦土と化します。攻撃側も日本も放射能汚染で「国敗れて人が住めるような山河なし」になります。

ですから私は最悪の場合には不当な占領を受け入れてでも、しかし不服従を貫き正義を基調とする国際社会の鉄槌が彼ら侵攻国に下るまで人が住める故郷の山河を頑張って守り抜こうと思います。

2021年9月21日 オーバビー博士の4回目の命日(18日)にあたり 記

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