本日の担当は元東芝原発技術者の小倉志郎さんです。

-以下小倉さんの寄稿文の引用―

 日本国憲法は第9条で「戦争放棄」および「非武装」を唄っている。

しかし、日本は現実には戦闘部隊である自衛隊という組織を保有している。

予算ベースで世界第5位という強大な軍事組織である。

それではこれほど強大な軍事力があれば、それで外国から攻められた時に自衛戦争をすることができるのかと言えば、まったくそんなことは言えない。

 護憲派は「憲法で戦争放棄と書いてあるから自衛戦争はできない」と言い、改憲派は「憲法は自衛権を否定していないし、自衛のための戦争なら国際法上認められた正当防衛だからできる」と、水掛け論が続いてきた。

その間に日米安全保障条約を結んだ相手のアメリカからは「金を出すだけじゃなく、自衛隊を米軍と一緒に海外の紛争地域へ派遣せよ」と圧力がかかり、遂に集団的自衛権を認める安保法制まで2015年9月に国会で成立してしまった。

憲法はともかく、法律的には米軍と一緒に戦争に参加できることになった。

 さて、法律論を離れて日本の現状を虚心に眺めてみよう。

ご承知のように日本は海岸線に54基もの原発を並べている。

これは仮想敵が引き金を握った核兵器である。

軽武装のゲリラ2・3人で3・11フクシマ原発事故くらいの大事故を起こすのは簡単だ。

戦争になればもっと大きな事故になるだろう。

原発からは膨大な量の放射能が環境に漏れ出し、国民が生物として生き延びる事ができなくなる。

これは国際法、国内法、憲法にどんな文言があるか否かには関係がない。

日本が持っている物理的・生物学的な特殊な条件によるのだ。

要するに日本は物理的・生物学的に戦争ができないのだ。

2022年5月2日 記 小倉志郎

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