本日は元東芝原発技術者の小倉志郎さんが担当します

―以下小倉さんの寄稿文の引用―

 ウクライナ戦争が始まり、ウクライナの電力需要の約50%を原発が担っていることを知った。

その原発がロシア軍の攻撃に曝されたという報道があり、日本において一挙に「原発と戦争の関係」が注目されることになった。

以前から「原発を並べて自衛戦争はできない」を持論にしていた私はこれで「日本は自衛のために軍備を持っていても役に立たないから憲法9条が定めるように非武装で良い」と考える人が増えるだろうと思った。

しかしあにはからんや「ウクライナ戦争を見れば日本はもっと軍備を増強しなければならない」という論調が増えたのにはびっくりした。

即ち、ウクライナの状況を見ても、自衛のためなら保持する軍備で戦争をしても良いという論者が多いのだ。

なぜなのかを考えてみた。

 20世紀の戦争を振り返ってみる。

第一次世界大戦(1914~1918)および第二次世界大戦(1939~1945)が人類の歴史上最も犠牲者が多い戦争だと言える。

両世界大戦とも結果として「勝者」と「敗者」が生まれただけで済んだ。

では、21世紀の今、大規模な戦争が起きたらどうなるか。

核兵器が使われたり、原発が攻撃される可能性が現実にある。

そうなったら、戦争の勝敗にかかわらず環境が放射能の汚染によって人間が生物として生き延びることができなくなる。

これでは敵味方どちらにとっても自衛のために戦争をする意味がないではないか。

今、日本で自衛のために軍備を増強すべきと言っている人たちの「戦争」観は20世紀のままなのだろう。

2022年6月3日 記 小倉志郎

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