―以下元東芝原発技術者小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 第二次世界大戦が、米国による原爆の投下が決め手となって1945年に終わった直後から、資本主義諸国と東欧社会主義諸国の間で東西冷戦が始まった。

「冷戦」と言う如く実際に戦場で火砲が火を噴く戦争ではなく、軍備の増強競争、特に核兵器の開発競争が行われ、結果として米国、ソ連、イギリス、フランス、中国という5つの核兵器保有国が生まれた。

イギリスはオーストラリアで、中国は自国内で核実験を行ったが、米国とフランスは太平洋の無人島などで複数回の核実験を行ない、それによって、太平洋の島々に住む人々が放射性物質の降下物や海水の汚染によって、被曝者となり、その被害は大気中核実験が行われなくなった今でも続いている。

島民の米国やフランスへの憎しみも続いている。

核実験も行ったことがなかった日本が、この度、放射性物質で汚染した水を大量に太平洋に放出することによって、憎しみの対象国に新に参加することになるだろう。

米国やフランスにとっては、憎しみの矛先が分散されるので有難いことだ。

核実験で地球を放射能汚染させてきた欧米大国の政府が日本の汚染水海洋放出に反対しないのも当然だ。

日本の行為は新たな憎まれ役を買って出るに等しい。

しかも、どこの国が出した放射性物質か不明でも、今後、低レベル放射能汚染による晩発性障害、あるいは、新生児の先天的障害が顕在化した時には憎まれるだけでは済まなくなるだろう。

汚染水海洋放出は大至急中止しなければならない。

2023年9月5日 記

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