―以下元東芝原発技術者小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 去る8月24日に福島第一原発で汚染水の海洋放出が始まってから丁度3週間だ。

日本政府と東電とのこの措置にたいしては、国内外で賛成派(A)・反対派(B)の様々な意見が飛び交っていて、その対立が収まる気配がない。

Aは「国際基準をはるかに下回るまで薄めるから安全だ」と言い、

Bは「いくら薄めても放射能の有害性はなくならない」と真っ向から対立している。

B側の小出裕章さん(東北大学原子核工学科卒業)が福島県三春で行った講演の記録動画を視聴したが、科学の基礎から説き起こし、理路整然と「汚染水海洋放出の危険性」が実にわかり易く説明されていた。

一方A側では岸田総理が西村経産相ら閣僚と昼食に福島県産のヒラメなどの食材を用いた弁当を食べて「おいしい」と安全性をアピールしている。

大手マスメディアがこのようなアピールを麗しい「福島漁民支援」として報道している。

どちらが正しいかは一時脇に置いて、A・Bのどちらが一般国民への宣伝効果が大きいかに注目してもらいたい。

小出さんの講演が大手マスメディアで報道されたという話を聞いたことがない。

国政を司る大臣たちがにこやかに福島産の海産物を食べるニュースは大々的に報道される。

Aの国民の「情緒に訴える」宣伝力の方が圧倒的に強力なことは明白だ。

Bの人々も国民に訴える方法を大いに工夫する必要がある。

2023年9月15日 記

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