―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 憲法第9条を厳密に守ろうとする護憲論者(A)は武力を持たないことによって、絶対に戦争をしないことを目標にしている。

一方の憲法第9条を書き換えて正規軍を持とうとする改憲論者(B)は正規軍を抑止力として使い、仮想敵国が戦争をしかけてくるのを防ぐと言う。

A・Bともに戦争を防ごうと言うのだから、目標は同じであるかのように見える。

しかし、両者の目標はまったく違う。

Aはいかなる状況においても物理的に戦争が不可能な国にしようとしている。

それに対して、Bは正当な理由、例えば、外国軍が攻めてきた場合には抑止力として用意していた正規軍を使って自衛戦争ができる国にしようとしている。

即ち、Aの目標は「戦争不可能な国」であり、Bの目標は「戦争可能な国」である。

理屈ではなく、現実に起きていることを見てみよう。

未だに続いているウクライナ戦争では侵攻してきたロシア軍に対してウクライナ軍が反撃するという形になった。

ウクライナ側から見れば明らかに「自衛戦争」である。

その結果、ウクライナの国民は地獄の苦しみを味わっている。

日本が抑止力として正規軍を持てば、こういう悲惨な経験をする可能性が大きいのだ。

しかも、海岸線に50基以上並べた原発のうちどれかが破壊されて大量の放射性物質が環境に漏れ出せば、戦争が終わっても、私たちが安心して暮らせる国土は残っていないだろう。

ちょっと考えれば、AとBの目標のどちらが良いかは容易に判るだろう。

2023年10月12日 記

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