―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―
前回書いたように私は4歳と2か月半で「15年戦争」の敗戦を迎えた。
平仮名もカタカナも知らなかったのに、いつ、どこで、誰から聞いたのか覚えていないが、「キチクベイエイ(鬼畜米英)」という言葉は今でも良く覚えている。
多分、身の回りの大人たちの日常会話の中で頻繁にこの言葉が使われていたのだろう。
米軍による大空襲に遭ったにもかかわらず、運よく難を逃れた我が家の物置の中で、小学生低学年の頃、小さな白い布製の袋を見つけた。
それには戦闘機に日の丸の鉢巻きをした桃太郎少年が乗っていて、その下には落とされた爆弾に逃げ回る二人の憎々しい表情の爺さんが赤と青のインクで印刷されていた。
爺さんたちは米国大統領ルーズベルトと英国首相チャーチルだった。
その袋は戦地の兵隊さんへ送る「慰問袋」で使わずに残ってしまったものだ。
慰問袋の絵は「アメリカとイギリスは鬼や畜生だ、それを日本の桃太郎が退治するのだ」というイメージを老若男女にわかり易く印象づけたのだろう。
「鬼畜米英」という標語で国民を戦争に協力させた、政治家や財閥の末裔たちが今の権力の座に座って、米国のポチのような政治を行っている。
その上「愛国心教育が必要だ」と宣う。
彼らの言う「愛国心」には一貫性が全く無い。
そんな恥ずべき政権の悪政を多くの国民が黙認しているのが現状だ。
2024年8月18日 記
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