本日は元東芝原発技術者の小倉志郎さんの担当です。

―以下小倉さんの寄稿文の引用―

 この短い文章の中でタイトルの「原発の本当の怖さ」を説明するつもりはない。

こんなことはチェルノブイリ事故、3・11フクシマを経験した私たちが十分理解しているだろうと思い込んでいた。

しかし、実は最近この怖さをまだまだほとんどの国民が実感していないのだと思い知らされている。

 「原発の怖さ」の核心は原発の中に溜まった大量の放射性物質であり、それが環境に漏れた場合の人間を含むあらゆる生物の命と健康への影響の大きさとそれが半永久的に続き、人類の生存する数万年の間には元通りの安全な環境には戻らないことだ。

 私が「原発を並べて自衛戦争はできない」という小論文を書いたのが2007年。

それを子どもにも感じ取れるようにと紙芝居「ちいさなせかい」をつくったのが2011年。

そして3・11フクシマ発生の後に改めて「元原発技術者が伝えたい本当の怖さ」という単行本を世に問うたのが2014年。

「原発を並べて自衛戦争はできない」というフレーズがいくら何でももう日本の常識になっても良い頃だと思うのだが、現実はそうではない。

 もし、「原発を並べて自衛戦争はできない」が常識になっていれば、自衛戦争のための軍備は要らないし、米軍が国内に駐留する必要もない。

つまり、自衛隊違憲問題も米軍基地問題も解決の方向が決まるはずだ。

ところがウクライナ戦争勃発後の日本の世論は全く逆だ。

「軍備を増強すべき」「憲法を現実に合わせるべき」などという意見に同調する人々が多くなった。

上記の3つ作品は私の遺言のつもりで書いたが、まだ安心して冥途へは旅立てない。

2022年5月10日 小倉志郎 記

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