今朝はアメリカ大リーグ野球エンジェルスの大谷翔平投手が先発登板する姿をテレビ観戦しながら私が1980年から初めてニューヨークに駐在した頃のことを思い出しています。

その頃日本の対米輸出が急増してアメリカの貿易収支に大きな影響を与え始めていましたがとりわけ繊維と自動車がアメリカの目の仇にされました。当時日本の銀行は海外進出する日本企業の後ろ盾となり資産規模を拡大していました。私の勤務する第一勧業銀行(現みずほ銀行)の資産残高はアメリカの巨大銀行を抜いて世界一になった頃です。急成長した日本企業・銀行でしたがアメリカ人の間ではアジア差別意識が強く日系企業に就職希望するのはごく少数でした。当時人事・採用担当課長だった私から見て求職者の大半はアメリカ企業からの落ちこぼれ、あるいは日本文化が大好きという限られた人たちでした。米国でも一流の人材が日系企業を就職先に選び始めたのは私がカナダに転勤した1985年頃からです。我々駐在員も非一流(失礼)現地採用アメリカ人に対して言葉ではかなわないと認めつつもコンプレックスの裏返しの逆差別意識で空(から)威張してみたり感情は屈折していました。そんな頃のことを思い出しつつ大谷翔平のずば抜けた実力でアメリカ人と(中南米人も大勢いますが)堂々と渡り合って活躍する姿は私には隔世の感がします。さて一時の小池都知事ほどではありませんが街中にはカタカナ語が氾濫しアメリカ・コンプレックスからまだ抜け出せない私たちですが昨今自民党で話題の世襲議員の中でアメリカの大学を最終学歴にしている3代目、4代目の世襲議員の経歴が総裁選挙絡みで私にはひときわ気になります。日本の有権者の中にはアメリカの大学出身の学歴だけ見てつい尊敬してしまう人も多いと思います。ところがぎっちょんちょん、アメリカの有名大学にはレガシー枠という有名人、富豪や有力政治家の子弟、などに特別入学を認める裏の仕組みがあることはあまり知られていません。

何の七光りもなかった私はアメリカ大学院入学共通テストの得点はまずまずだったと思いますが合格の最大の決め手である有力者の推薦状をもらうのに苦労しました。結局銀行の人事部長と大学時代の教授に書いてもらいましたがその結果かどうか第一志望のハーバードにもスタンフォードにも入学できませんでした。のちにこれらの大学には隠れた合格審査の仕組みがあること、日本でハーバードやスタンフォード卒の学歴を持つ一部の人(特に政治家や日銀、官僚、三菱系企業など)はこの仕組みのおかげによることが分かりました。イラク戦争を始めたブッシュ大統領(子)は父ブッシュ大統領のレガシー枠でアメリカ人でもよほど優秀でないと入れないイエール大学を卒業したのは有名な話です。

世襲議員の3代目ワクチン大臣(ジョージタウン大学)4代目セクシー大臣(コロンビア大学院)3代目普天間基地県外移設失敗元首相(スタンフォード大学院)もレガシー枠??と疑うのは既得権と縁遠い私の下衆の勘繰りかも、とついひがんでしまいます。余談ですが最近テレビなどで脚光を浴びている社会評論家の中に最終学歴を東大大学院卒(卒業は別大学)としている人がいますが彼らも見栄えを良くしようと頑張っているのでしょう。

若くて前途洋々の皆さん、親の七光りなどの既得権に頼らず、名門大学の名前に固執しないでアメリカの大学、大学院を実力で目指してください。そしてアメリカ人の友人をたくさん作ってアメリカ生活を肌で経験してください。残念ながらアメリカに留学する日本人の若者は中国人、韓国人と比べて近年極端に減っていると聞いています。

野球の大谷翔平選手のように政界でもアメリカの有力な政治家、経営者と対等に英語で渡り合える日本人が増えることが劣等感が見え隠れするアメリカ追随一辺倒の日本政治を対等の友好関係に変えることにつながります。語学だけでなく真の実力を備えた若い世代こそがピースアゴラの運動の結果次第で2025年にも実現する日米安保条約破棄以後の日本とアメリカの関係を真に対等な日米友好条約の関係に変える担い手となるでしょう。

2021年9月4日大谷翔平投手が今季9勝目をあげた日に 記

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