<第18回総会記念特別Web講演>
「菱山南帆子さんに聴く」<後編>

 5月30日(日)、リモート開催となった当会総会において、菱山南帆子さんにお話を伺いました。前号に引続き、後半をご報告します。


 そのために私たちは何をしたらいいでしょうか。やはり憲法の実践ということが今こそ必要だと思うんですね。これほどまでに素晴らしい憲法があるにも関わらず使わない国もないのではないかと思います。本来ならば、憲法は国家権力者が使うべきものです。やってはいけないこと(信教の自由や表現の自由など、国民の権利を侵害するな)、やらなくてはいけないこと(健康で文化的な生活ができるように施策をせよ)と使うべきものなのに、私たちが使っています。憲法9条はもちろん、戦争させないための努力という憲法の実践。女性の差別をさせないためのフラワーデモ*1などは24条(両性の平等)の実践。私は戦争法が強行採決された後に戦争廃止の安保法制違憲訴訟の原告になりました。これは17条の国家賠償請求の実践。集会や街頭宣伝デモなどをやっているので、19条「思想・信条の自由」、21条「表現の自由、集会の自由」。最近ですと、学術問題や赤木ファイルなどに焦点化されている森友学園問題の追及など、これらも23条「学問の自由」の実践だと思っています。このように、憲法を今こそ私たちがしっかりと闘いの中で実践していくということがとても重要な時期になってきていると思います。
 先日、衆議院の憲法審査会で改憲手続法が強行改定されました。このコロナ禍のどさくさに紛れ、政府はショックドクトリン的改憲をやろうとしています。日本政府は憲法を今まで使ってもいなかったくせに、変えたいなんて何を言っているんだと思います。憲法を使いこなすということがとても必要だとつくづく思っています。
 昨年亡くなられた冤罪事件の免田栄さんが、死刑制度廃止運動の中で、「日本の人権は遠くから見ると虹のように美しいけれども、近くに寄ると何もない」と言われていました。とても重い言葉だと思うんです。人権とか権利とかは「遠くで眺める美しいもので、近くに行ってみたら何もありません」ではなく、使いまわすものでなければならないと思います。

*1 フラワーデモ=2019年4月に始まった、花を身につけて性暴力に抗議する社会運動

 新自由主義と復古主義は相反するもののような感じがしますが、私は同じようなもので、同時並行で進んでいくものだと思っています。
 憲法実践と同時に、日本のジェンダー指数や、女性差別のことについて、新自由主義に反対し、新自由主義のレールから降りるということは、復古主義にも対決していくことです。
 私たち自身も性差別についてしっかりと考えていかなければなりません。
 今まさに新型コロナ禍で、弱き者、今まで差別を受けてきた人たちが命を奪われるところになっています。日本では女性、子供、若者、海外だと黒人、ヒスパニック系の人たちがコロナに罹患する人が多くなっている。それも差別から生まれるものだと思います。そういった差別が放置されて、緊急事態のときに命を奪われかねない状態になってきています。今、日本の中で女性の自死率が増えているのも性差別がベースにあるからだと思います。
 今、日本はGoToキャンペーンに2兆7000億円以上をかけているのに、医療には4兆円しかかけていません。このような中で何が起きているのか。女性の実質的失業者は今年2月の統計で103万人。一方、男性は43万人なんです。
 日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位と低いわけですが、そんな現れはちまたにおいても垣間見られます。
 先日、蕎麦屋に入ったら、70代半ばの男性が何人かで話しているのが聞こえてきました。「ワクチンいつ来るんだ。年寄りにオンラインは無理だ」とさんざん文句を言っていました。その後天皇の話になり、「男を産めないなら妾を貰えばいい」なんて言ってびっくりしました。本当にひどいがこれが現実なのだと思いました。つまり、男の子を生めないなら…ということが圧倒的多数で、それが女性差別であると誰も怒ってこなかったからこういったことが長らく続いてきたのではないでしょうか。
 今、私たちは、めっちゃ遅いですが変わろうとしています。
 #MeToo運動や女性の選挙候補者比率を上げようというパリテ法などちょっとずつでも変わろうとしています。私たちの運動自身も男性が多いです。組合に男性が多いのは、労働組合は女性が家にいて男性が外で組合活動するという体制が多かったからです。韓国は市民運動では完全に男女半々にするような対策を取り始めています。日本の私たちもそうして行かなければいけないと思います。
 女性差別が長きにわたって横たわってきた結果、今の貧困格差が生まれています。コロナ禍で飲食店、とりわけ、接客業サービス業、飲食店や、介護・保育に女性が就いています。テレワークにできない仕事に多くの女性が就いている。しかも、正社員かというとそうではなく、多くの女性が不安定雇用の下で生活をしています。今回のコロナ禍で首を切られてしまう実質的失業者は、女性が男性の倍以上ではないかと思います。
 また、女は結婚が永久就職といわれます。根本的にこの考えがあるためにハローワークに行っても、女性にピッタリの仕事が介護以外に紹介してもらえないんです。結局女性はサブ的存在。誰かの面倒を見なければならないなど、そういう観念から性的分業が固定化されています。その結果、女性の貧困が出てくるわけです。
 そこで、3月に「女性による女性のための相談会」を行いました。コロナ禍でお金がなくて困っている人、食べ物がなくて困っている人だけでなく、テレワークが増えて、普段家にいない夫が家にいてDVを振るわれるという女性特有の悩みも聞くような相談会がありました。
 2008年のリーマンショックのときには、日比谷公園で「年越し派遣村」を行いました。相談者数は505名で、そのうち女性は5名でした。しかし今回コロナ禍での年末年始の相談では相談者270人中、女性62名と圧倒的に女性が増えていました。そこで、女性のための相談会を開いた方がよいのではないかということになりました。開いた2日間はすごい悪天候でしたが300名近くの方が相談に来られ、件数につながったのは125件でした。
 とても深刻だと思ったのは、女性が子供を連れてくるときのことです。私は保育士資格を持っているのでキッズスペースを設けていたのですが、朝、相談会が開かれる前から子供を連れたお母さんたちが並んでいる。「朝ごはん食べて来られましたか」と言うと、「え、まあ…」というので、ポッキーとキットカットをお母さんとお子さんにあげると、子どもがポッキーを束にして食べていました。キットカットも割らずに2個いっぺんに食べていました。慌ててコンビニに行き、皆さんから頂いたカンパで大量のおにぎりを買ってきて、その母子にもお渡ししました。
 忘れられない光景は、キッズスペースの積み木やおもちゃがいっぱいある横で、3歳の女の子が背中を丸めておにぎりを口いっぱい頬張っているその後ろ姿でした。この国は、子どもを飢えさせる国なのかと思いました。これでも「自助」だと菅総理は言うのかと怒りが湧きました。こんなにお腹を空かせているのに、「食べてないです。おなか空いてます」と言えない国。
 誰かに頼るのは恥ずかしい、そういう押し付け教育がここまで人を苦しめているのだとつくづく思いました。
 アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトさんが日本文化の特徴を、欧米などの『罪の文化』に対し、『恥の文化』と言いました。罪の文化は、人々の意識が宗教などの規範に依拠し、善悪を判断します。しかし、恥の文化は周りの目や世間に依存するのに対し、罪の文化は十字軍のような価値の一方的な押し付けを生み出します。恥の文化は相互監視の全体主義を生み出しやすいと思っています。このどちらも望みません。
 目指すべき風土文化は、憲法の理念が生き生きと息づいて、こういった子どもたちを生み出さないような社会です。私たちは口先だけの憲法の実践ではなく、それを具体的にやらなければならないということを、強くこの女性相談会で思いました。
 また、女性がお金がないとどうするかというと、結局、性風俗で働くしかなくなってしまいます。そういったところで妊娠してしまう、妊娠した女性が行くところがない、中絶するにもお金もない、結局生んで乳児院に入れたりするしかない、となります。
 生まれた子どもを抱えながらネットカフェで生活する女性、お腹がどんどん大きくなって不安なままネットカフェで暮らしている女性からの相談もたくさん受けて本当に驚きました。この人たちを救う制度や支援団体があまりにもなさすぎます。子どもを産んで一人で苦労して、みたいなことを聞きますが、子どもは一人ではできない。どうして相手の男は出てこないんだ!と思います。こう言うと「女だってわかってやったんだろう」という批判の声があります。こういう風潮から変えていかなければ、女性の貧困や事件は後を絶たないと思いました。
 こういった中で、最近はフラワーデモや#MeToo運動など、女性たちが声を上げるようになりました。女性たちが街頭宣伝をやろうと声を上げることによって、社会が変わろうとしています。拳の上げ方が変わってきている、と言ったのはそうだと思います。寄り添い、共感し、「私もだよ、気持ちわかるよ」そういうシスターフッドという女性の連携・連帯が新たな運動を生み出してきているのではないかと思います。
 最近、都立高校の女の子だけ偏差値が足切りされる問題がようやく明らかになってきました。前からいわれていたのに、誰も問題にしてきませんでした。公立なのだから男女平等でなければならないという固定観念にとらわれてきました。しかし、今はそういう時代ではありません。数年前に起きた医大入試の際の女性差別問題もそうです。
 最近では、学校での生理の貧困というのがいわれています。
 子どもが突然生理になり、保健室で生理用ナプキンをもらうのですが、1個借りると2個にして返すのがいろいろな学校で通用されてきました。これが問題とされ、文科省が「生理用ナプキンは返さなくてもいいです」というくだらない通達を出したとのことです。この日本でも、今の時代でようやく明らかになったおかしなことはまだたくさんあるので、私たち自身も運動や社会をアップデートしていくために、身近な差別に対してしっかり闘っていかなければならないと思います。
 最後に、新自由主義や復古主義と闘って、そのレールから降りようとするとともに、日米安保のレールから降りようという東アジアでの市民レベルの連携について述べます。
 まさに今、日中関係が危ないという話をしたところです。近く選挙がありますが、国政選挙が近づくと、いつも自民党・公明党は、仮想敵を作って騒ぎ出します。2017年もJアラート(全国瞬時警報システム)を全土に響き渡らせて、北朝鮮から攻撃があったと大騒ぎしました。北海道の襟裳岬から東2000km離れたところに北朝鮮の発射した飛来物が落ちたそうです。2000kmというのは、青森の竜飛岬から種子島宇宙センターまでの距離で、どこが危ないのでしょうか。
 2017年、衆議院選挙で自民党は国難突破解散と言って勝ちました。麻生太郎氏は正直な方なので、選挙が終わった後に、「北朝鮮のおかげで勝った、日本海側では特にそれを感じた」と言っていましたが、やっぱりそうなのだと思いました。
 今回は絶対中国で来るだろうと思います。中国がインド洋かどこかに落としたと言っているが、そこで一体何が行われたかということには全く触れられていません。そのような切り取りの報道で、「中国が怖い」というのではないでしょうか。
 先日、20~30代の女性7人でwam*2に行き、戦時下性暴力のことを改めて勉強してきました。日本はこんなひどいことをしてきたんだと皆驚きました。これを学ばずして未来なんか作れないと口々に言いながら帰ってきました。友人の20代の女性は、「昭和天皇の戦争責任の重さは計り知れない、許しがたい」と言っていました。私たちが教えられなかったことがたくさんあります。そこには、「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史の教科書も置いてありました。読むと歴史改竄主義もいいところ、歴史冒涜主義みたいな状態でした。こういうことを子どもたちが学んだら正しい歴史がわからなくなります。
 この国の姿勢を変えるには政権交代をすることが必要です。

*2 wam=アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」

 もうこのような国では無理なのです。国同士の外交ではギクシャクしてやっていけないので、市民レベルで外交するしかないと思います。最近、在日コリアンの若い人たちと、日本人側の若い人たちと一緒に交流をして勉強会もしています。そういった中で、「相手の国に友だちがいたらけんかしようと思わないよね」という話をしました。
 組合の青年部の子が、自分の親が昔旧ソ連に行ったことがあり、親から「ソ連では、みんな明るくて楽しかった、普通の生活をしていた」と子どもの頃に聞いたそうです。怖い国だと言われても、そこに生きている人たちと国家は違うんだと教わったと。だから市民同士で交流することが一番の平和外交の近道なんだよね、と言われました。こういうことをツイッターでつぶやくと、「お花畑」と批判が来ます。しかし、お互い核を持ち合うほうが、ずっと非現実的なお花畑理論だと思います。
 日本は敗戦後3年で「戦争をやめよう」という憲法が実現しましたが、そこから日を置かずして、朝鮮戦争が始まりました。
 憲法を作って戦争をやめようといいながら、逆コースが同時進行していたわけです。そうした中で日米安保が締結され、自衛隊が生まれ、日本は反共防波堤というレールをずっと走り続けてきました。しかし、私たちはこういう反共防波堤という路線からきっぱり降りていかなければならないと思います。本質的な問題は、何かちょっとしたことが起こると、すぐに強権的な政治を求めてしまうような日本の風潮や文化にたいへん問題があり、ここにも声を上げなければならないと思っています。
 安倍・菅政権は歴史修正主義から歴史忘却主義へと悪化していますが、戦争と植民地化、差別と虐殺の歴史から逃げることなく真剣に向き合う中で、アジアの人々に平和と友好の一つの歴史をこれから共に作り出していくということを、私たちは戦争の反省の中で、責任として訴えていかなければならないし、その戦争の反省の責任として、まず今回政権交代していかなければならないと思っています。
 身近なところでは、私個人への嫌がらせがひどく「菱山弁護団」を作ってもらいました。一日中盗撮されたこともあり、盗撮者をとっちめたところ、写真は公安に売っているとポロリと言いました。嘘か本当かわかりませんが。ただ、発言する者を黙らせようという圧力が動いているということは確実です。今年の憲法集会5月3日にも、憲法集会ではこの30年間で初めての不当逮捕者が出ました。逮捕されたのが組合役員だったせいか、公務執行妨害罪で10日間の勾留になってしまい、翌日には早朝から家宅捜索も行われました。ところが、この身柄拘束、勾留理由開示公判の場で、裁判官が勾留理由を答えられなかったということで、翌日すぐに釈放されました。
 政府が、やぶれかぶれで何でもするという状況が始まっているように思います。今回の入管でのウィシュマさん虐待死のあおりで入管法改悪が廃案になり焦っていると思います。重要土地規制法案,デジタル庁の設置などでもめちゃくちゃなことを行おうとしています。私たちはこういったこと全てに対応するのは困難ですが、一括してそういう政権に退場願い、命と暮らしを守る選択肢を私たちが示すことを生活の中で実践していかなければならないと思います。今私がやっている活動は命と暮らしに直結するような活動ですごく大変ですが、命と暮らしを守ることは私たちの運動の一丁目一番地。力を合わせて今こそ私たちの団結や連帯が求められているときだと思います。

菱山南帆子 プロフィール
1989年東京都八王子市生まれ。中学1年のときから、イラク戦争反対などの市民運動を開始。現在、福祉施設職員として働きながら、「許すな!憲法改悪・市民連絡会」「解釈で憲法9条壊すな!実行委員会」「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」のメンバーとして活躍。当会会員。
著書:『嵐を呼ぶ少女とよばれて―市民運動という生きかた』(はるか書房、2017/3/1)

~2020-2021 コロナ禍における新しい試み~
第14回「コスタリカ・オンライン勉強会」報告
~今秋の衆院選に向けて何ができるか?~

 9月14日午後8時から2時間、オンライン(Zoom)学習会を行った。11月までに開催確実な衆院選に向けて、私たち一人ひとりができることを全員に語っていただいた。
 話の前に、今、自衛隊の米軍との一体化が進んでいて、米軍の動きによってはすぐにでも戦争に巻き込まれ得る状況にあることをリアルに示す30分のドキュメンタリー動画を皆さんに観てもらった。この動画は、安保法制違憲訴訟差止め請求裁判の法廷(9月10日@東京高裁)で上映したもので、法廷では裁判所の要求で30分を20分に短縮して上映した。
 今回は、現政権の数々の悪政に対する批判ではなく、その悪政を正すために、迫る衆院選において、政権与党の議席を減らし、野党の議席を増やすための方法論に絞り、皆さんからこういうアイデアはどうか、こういうことができるのではないか、という方法論や既に実行していることを語っていただいた。
小倉志郎(世話人)

  1. 住んでいる地域=選挙区=の選挙対策委員会に参加する。自分は委員として参加している。
  2. 「市民連合」に参加する。どうすれば参加できるか?
  3. 集会を開き、思ったこと、感想などを話し合う。違憲訴訟裁判の資料などを使い、自民を当選させることの危険性について話し合う。
  4. 映画(上記)を利用して、米軍のやっていることを紹介する。こんなアメリカに付いて行って良いか?
  5. 投票率を上げるために「レッドアクション」をもう一度やりたい。赤いバッジを付けて「皆一緒に投票に行こう!」と。
  6. 戦争について話し合う。今まで戦争を話題にあまり話し合わなかった。
  7. 自分のHPで花岡さんの著書の紹介をする。
  8. イベントがあれば参加する。
  9. 自分の選挙区で野党の統一を求める。
  10. 「三ザル=見ザル、聞かザル、言わザル」から「四ゾウ=見るゾウ、聞くゾウ、言うゾウ、(選挙に)行くゾウ」へ変えるキャンペーンを広げたい。
  11. 投票率を上げるために投票した人に「褒美」をあげるなど工夫する。オーストラリアは棄権に罰金で、90%以上の投票率。
  12. 家族で話す。
  13. 争点を具体的にはっきりさせる。
  14. ツイッターを利用する。
  15. 「半径5メートル」の身近な人々に「野党に投票を」と話す。
  16. 野党に臨時国会を開かせる。
  17. 「与党:野党:無所属=3:2:5」の5に働きかける。
  18. いろいろな相手と話したり、書いたりする。
  19. 誰も反対できない法律をつくらせる。例えば、①原発30キロ以内の避難計画を義務化、②環境への放射性物質を出してはダメ。
  20. 自分が政治家になることも一案。
  21. 看護学校の講師として学生たちに話をしている。真実を伝えると学生たちはちゃんと判断ができるようになる。今は知識が不足し、現実を把握できていない。
  22. 同人雑誌で書いている。
  23. 同窓生のメーリングリストに投稿している。
  24. 自宅の近所の国会議員に要望を伝える。
  25. 定期的に対面での対話会を開いている。

以上

「センキョ割」
~大学生による投票率向上への取り組み~

 都内の大学生が中心となり運営している「センキョ割」は、全国のさまざまな店舗で、投票済み証明書等を見せることで割引を受けることができるというものです。
 方法は、投票後、投票所で投票済証明書をもらう、または投票所の候補者ポスター看板を入れて自撮りする→センキョ割参加店舗に投票済証明書等と年齢証明書を提示する→サービス(割引)を受ける、となります。
 サービス内容は、トンカツ半額、映画館でポップコーンとドリンクSサイズ無料、会計より10%引などです。
 2年前の参院選では約2千店が参加。参加店は、旭川、岡山、島根、徳島、長崎など全国に及びました。今回は前回をはるかに上回る店舗が参加見込みとのことです。
 本件は、10月24日(日)、日本テレビ「真相報道 バンキシャ!」等でも紹介されました。
 さて、10月31日(日)の衆院選への影響やいかに!?
URL:https://senkyowari.com

プロジェクト「ピースアゴラ」のスタート!

会員 花岡蔚(しげる)

 2025年末までに日本を非武装中立国にするため拙著『自衛隊も米軍も、日本にはいらない!』(花伝社 2020.1/現在第5版)を広くできるだけ多くの方々に読んでいただき恒久平和国日本を実現させるため、今年5月に立ち上げたホームページ(HP)の愛称でもあります。10月20日には累計閲覧数が1万2千件を超える好調な滑り出しです。私の他にプロジェクト呼びかけ人の小倉志郎さんや他の呼びかけ人の方にも寄稿をお願いして、ほぼ毎日投稿記事を更新しています。「ピースアゴラ」は非武装中立の目標が実現するまであらゆる手段を尽くしてさまざまなプロジェクトを企画していきます。
 その運動の第一弾として、8月に衆参両院の全国会議員706名に超党派による本運動への協力を呼び掛ける手紙を添えて本書を献本しました。続いて9月10月には47都道府県の全県議会議員2584名にも献本を完了しました。
 献本に要した費用は、これまで「ピースアゴラ」のHPやコスタリカに学ぶ会会員の皆様宛てメールでお願いしてご協力いただいた寄付金が500万円ほど集まり無事支払いを済ませました。感謝を込めてご報告させていただきます。早速何人かの国会議員や県会議員からお礼の電話やメールなどが届いています。
 運動の第2弾として、10月初めから呼びかけ人有志で東京文京区本郷三丁目付近にて音楽(尺八と三味線)とトークによる「政権交代街頭キャンペーン」を実施しています。
 「ピースアゴラ」HPの「YouTube動画」をご参考までにご覧ください。
URL:https://peaceforever-realize-by2025.com

 運動の第3弾として、来年の全国組織立ち上げに向けた諸活動を続ける予定ですので資金が必要です。寄付はまだの方も、金額にかかわらずありがたくお受けしますのでどうぞご協力をお願い申し上げます。今後とも同運動を続け、同志の輪を広げて目標を期限内に実現させる決意でおります。引き続きコスタリカの会の皆さんの熱いご支援をよろしくお願い申し上げます。

注:「ピースアゴラ」とは、ギリシャ語で平和のために集う公共広場のことです。

★通信読者からのメール★

 花岡しげるさんの著書『自衛隊も米軍も、日本にはいらない!』を読み、軍事力によって平和が守られていると信じて疑わない人たちに対して、「軍事力では平和が守れない!」ことを躊躇なく語れるようになりました。この本がとても役に立っています。
 花岡さんのHP『非武装中立「美しい日本」を目指すピースアゴラ』を紹介していただき本当にありがとうございます。目からうろこが落ちました。目まぐるしく動く社会現象等を正確に把握した素晴らしいコメントにうなずくばかりです。
中村由博

続継続「一人デモ」
「一人デモ」その後

小倉志郎(世話人)

2021年7月東京駅中央コンコースにて

 一人デモを始めてから5年余りになります。今年4月19日からは、ハンドマイク(メガホン型)を使い、歩きながら短いメッセージを声で周囲の人々に伝え始めました。5カ月余りの実践の結果と私の感想を以下に記します。
 いつどこでやるかといえば、自宅を出て、横浜駅近辺まで買い物や散歩に行く片道約30分は、必ず胸と背中にプラカードを吊るし、歩きながらハンドマイクを使います。東京方面などに用事で出るときは、加えて駅構内や電車の中でプラカードを見せますが、車内でのハンドマイクの使用は今のところは控えています。米国ニューヨークの地下鉄車内では、堂々と演説をしている人がいると聞いていますが、今は検討中というところです。
 また、定期的に文京区男女平等センターで座談会形式(通称:A方式)の勉強会を行っていますが、そのときは、本郷三丁目の大きな交差点の一角で、ハンドマイクを使います。信号が変わると、人々が集団で入れ代わり立ち代わり90度方向から渡って来るので、そのたびに声を上げます。常に通る人が変わるので、非常に効率よく多くの人々にメッセージを伝えることができています。
 交差点の向かい側の角には交番がありますが一度も警官からコメントを受けたことはありません。
 プラカードのみだった頃には視線を向けなかった人々が、私の声を聞いて視線をこちらに向けてくれるので、ハンドマイク採用は大成功だったというのが私の感想です。皆さんにもお薦めします。

「今の時代だからこそ! 茨木のり子」

 2021年は、詩人の茨木のり子没後15年の年。西東京市の市民グループが立ち上げた「茨木のり子の家を残したい会」が、コロナ禍にもかかわらず茨木のり子の詩と生き方を振り返る連続の会を6月から8月にかけて開催しました。ここでは8月8日に開かれた集大成の会ともいうべき「茨木のり子没後15年の集い~どこかに美しい人と人との力はないか」での心を揺すぶられた感動のことを少しお伝えしたいと思います。
 大方のイベントは、お上に言われるままに世の中の空気を読み「無難」に中止されていた頃でしたが、プログラムの一部変更、客席数の半減など精一杯の工夫をしながら、実施にこぎつけたことは何よりの快挙だったと思います。そして、8月15日の敗戦記念日を前に、私たちはその日をどういう思いで迎えるべきなのかを示唆してくれるような会でもありました。
 プログラムは盛沢山で、茨木さんの生きた軌跡を朗読で語る「茨木のり子 巡りくる八月の旅」、ソプラノ独唱とピアノ演奏、合唱(不肖ワタシも参加)、山川建夫さんによる詩の朗読、吉岡しげ美さんのピアノ弾き語りなど、茨木のり子さんの詩、思いがさまざまな表現を通じて伝えられました。とりわけ私が震えるほどに感動したのが、山川さんの朗読「りゅうりぇんれんの物語」(詩)です。本を一冊まるごと読むような30分以上の迫力でした。「長くて退屈だったでしょう?」とおっしゃいましたが、手に汗握って耳を傾けたあっという間!でした。
 語られていた史実を私は全然知りませんでした。1944年9月に中国山東省から北海道の炭鉱に強制連行され、日本が終戦を受け入れる一か月前に仲間たちと脱走を企て、山々をつたって14年間逃げ続けたりゅうりぇんれん(劉連仁)。逃げ隠れ、見つかったのが1958年。そんな大変な事件だったのに、全く知りませんでした。横井さんや小野田さんがジャングルから生還したというニュースはよく覚えているのに。日本人が見つかったのと、中国の人が見つかったのとは、ニュースの重さも違ったのでしょう。当時の総理大臣は、戦時中の商工大臣で戦犯だった岸信介。戦争責任なぞの意識はまるでなく、もちろんお詫び一つしなかったことでしょう。りゅうりぇんれんはその後故郷に戻り、14年ぶりに妻と再会し、強制連行されたときに妻のお腹にいて14歳になった子どもに初めて会うのです。
 こんなことがあったのか!という驚き、ショック。知らなかったことに対する申し訳ない気持ち…。その衝撃を抱えたままの8月15日は、特別なものとして迫ってきました。日本が太平洋戦争に突入したとき、女学校三年だった茨木さんは、「かしらア…右イ、かしらア…左イ」と大声を上げ、「いっぱしの軍国少女になりおおせていた」と述懐します。1961年にりゅうりぇんれんのことをいち早く詩にしたのは、軍国少女として生きたあの戦争に対する負の思いだったのかもしれません。「たとえば戦争責任は女には一切ないとは到底思えず、日本が今なおダメ国ならばその半分の責任は女であるというふうに」(はたちが敗戦)
 茨木さんは1979年に最愛のおつれあいを亡くされてから、韓国語を学び始め、ついには韓国の詩人たちの詩を訳す、という大きなお仕事をされました、「なぜ韓国語をやるのか」とさまざまな人から問われ、日本が朝鮮半島を植民地化し、民族の根幹を成す言語も奪った、という動機はあったでしょうが、答えるのが面倒になると「隣の国のことばですから」と答えたとあります。中国も韓国も隣の一番仲良くすべき国。日本のルーツがある国。なのに、日本人は隣人のことを軽んじています。となりの国のことばを学び、となりの人と付き合うことの意味を8月に思い起こさせてくれたのが茨木のり子さんでした。
 もう一つ、この日の会で私は「宝物」をゲットしました。朗読「巡りくる八月の旅」で圧巻だったのは、保谷市(現在は西東京市)の「憲法擁護・非核都市の宣言」制定の場面。宣言が発表されたのは1982年10月1日でしたが、当時の保谷市長だった都丸哲也さんがご本人の役で「生」出演されたのです。4月に100歳になられたという都丸さんは、足取りも言葉もしっかりしていらっしゃって、制定するにあたって、保谷市在住だった茨木のり子さんを訪ねて相談されたことを話してくださいました。
 そうしてできたのが、「憲法擁護・非核都市の宣言」でした。

憲法擁護・非核都市の宣言

みどり濃いまち
ほっとする保谷に
私たちのくらし

木や鳥や虫たちとともに
日々のいとなみ
静かなあけくれ

平和をねがう
すべての国のひとびととともに
守りぬこうこのなんでもないしあわせ

新たに誓う
いっしょに育てるこの地方自治
そっくり子どもたちに手わたすことを

この市民の声を
憲法擁護・非核都市保谷の
宣言とする

1982.10.1

 都丸さんは、「読み返してみて、茨木さんの気根、思いがまとめられていると思いました。日々のくらしの中に憲法を守っていこうという思いが」と語られました。
 戦争と対極にある、日々の平和なくらしをやさしい言葉でつづったこの宣言は、8月の敗戦記念日にとてもふさわしいものでした。
 コロナという見えない敵に人びとが怯え、自分で考えることをせず、人の言うことにひたすら付き従っているような時代に、茨木のり子さんのことば、生きかたが、ずん!と響きます。
 そのことばは決してキビシイものではなく、当たり前の生の営みの中から湧き出ることばだからこそ、ちからをもらえている気がしています。
星野弥生(世話人)

『茨木のり子の家』(単行本)
茨木のり子(著)
小畑雄嗣(写真)
2010.11 平凡社
A5版 124ページ
1,980円(本体1,800円+税)

漫画で発信する
「軍隊なんていらない!」

 Norioこと山井(やまのい)教雄(のりお)さんは、大学時代からの友人。卒業後、広告会社勤務を経てフランスで10年を過ごしました。語学教材を作り日本語科の講師も務めました。
 1987年に帰国し、朝日新聞のAERA創刊号から一コマ政治漫画を連載。日本では政治テーマの一コマ漫画の文化はほとんどなく、Norioさんの作品は、むしろ海外で大きな評価を得ています。
 2005年に、モハメッドを風刺した漫画がデンマークの日刊紙に掲載され、イスラム教徒の怒りを買って暴動がおこったことをきっかけに、国連で「政治漫画における表現の自由と各国文化の尊重」と題する会議が開かれ、Norioさんも呼ばれました。そこからNGO「Cartooning for Peace」(平和を求める漫画)が立ち上げられ、毎年世界のおよそ10都市で展覧会、シンポジウムが行われています。
 2015年1月に起こったフランスのシャルリー・エブド襲撃事件で犠牲になった漫画家の中には、Norioさんの友人もいます。命をかけても、表現の自由を守ろうとしている多くの世界の仲間たちとつながりながら、Norioさんは現在、WEBRONZA(ウェブロンザ、朝日新聞が提供する言語サイト)などで、漫画を通じて世の中に鋭く切り込んでいます。
 平和への思いを、自信を持って描いた漫画をできるだけ多くの人に見て、感じてもらい、それが平和を願う意志へのヒントになったらうれしい、とコスタリカ通信の読者に掲載することを許してくれたNorioさんに感謝します。

山井教雄 プロフィール
1947年東京生まれ。東京外国語大学スペイン語科卒業。マッキャンエリクソン博報堂入社。テレビCFを企画・制作。77年同社退社後渡仏。映画、語学教材の教育ビデオを制作。またフランス国立東洋言語文化研究所で日本語科講師をつとめる。91年漫画集『ブーイング!』(朝日新聞社)で文春漫画賞受賞。2000年フランス・ルーアン市における国際政治漫画フェスティバルでグランプリ受賞。2003~06年、ダボス会議メンバー。06年から国連NGO・Cartooning for Peaceの活動に参加

弓場彬人(あきと)さん(大阪八尾市)が
6月に急逝されたとの報に接して

会員・花岡しげる

 弓場さんとは今年1月5日に小倉志郎さんと一緒に上野で初めてお会いしました。すぐに意気投合し、その後メールのやり取りで大阪での活動(拙著の学習会)の報告などをいただいていました。
 昨年11月16日に堀尾輝久先生のお声掛かりで私が拙著について行った「9条地球憲章の会」での講演をオンライン配信で視聴された弓場さんが、会の事務局を通して連絡してこられたのがそもそものきっかけです。弓場さんは熱心なクリスチャンであるとともに徹底した非暴力平和主義者で、私の意見にすっかり賛同。「敵は幾万有りとても我一人でも進まんとしたときにその心意気を見て全能の神が介入される奇跡も起きる」と信じて活動しておられました。
 また、私たちの「一人デモ」を知り、すぐに大阪で一人デモを実践される行動力の人でした。出身地の鹿児島県西之表市馬毛島(まげしま)の軍事基地化反対運動を一人でされ、島内をデモして歩かれたと。
 何通もメールが届いていたのに、急にメールが途絶え心配していたところ、コスタリカに学ぶ会のオンライン学習会に大阪から参加されていた女性会員から弓場さん逝去の知らせを受け茫然自失となりました。
 安らかな旅立ちとなりますようお祈りいたします。

「コスタリカに学ぶ会」にご参加を!

 「コスタリカに学ぶ会」は、2002年5月6日に開催した「映画『軍隊をすてた国』を観てコスタリカの話を聞く会」の実行委員会が中心になり、軍隊をすてたコスタリカ共和国の平和をつくる文化を広く、深く学び、平和をつくろうと発足しました。定例学習会や座談会の開催、通信発行、メール発信などを通じて、全国各地の会員が交流をしながら活動をしています。
 年会費は、1口2,000円(4月1日より翌年3月31日まで)です。関心のある方はぜひご参加ください。

<年会費・カンパの振込先>
◆ゆうちょ銀行からの送金
 口座番号:00130-3-388593(普通)
 加入者名:コスタリカに学ぶ会
◆ゆうちょ銀行以外の金融機関からの送金
 銀行名:ゆうちょ銀行 金融機関コード9900
 店 名:〇一九店(ゼロイチキュウ店)
 口座番号:0388593(当座)
 受取人名:コスタリカに学ぶ会

■通信発行元・連絡先
〒113-0033 東京都文京区本郷3-18-11 TYビル302
東京アドヴォカシー法律事務所内
「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」
(略称:コスタリカに学ぶ会)
電話:03-3816-2061 FAX:03-3816-2063
メールでのご連絡は、PXL11443@nifty.com 小倉まで

■通信編集長よりお願い
通信に関して気がついたことがありましたら、どんなことでも結構ですので、次のいずれかの方法でお知らせください。
メール:PXL11443@nifty.com
郵 便:〒240-0063 横浜市保土ヶ谷区鎌谷町272
電 話:090-8049-3178

(コスタリカ通信)Vol. 67 2021年11月9日
「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」発行

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