追悼・早乙女勝元さん
早乙女勝元さんは、「コスタリカに学ぶ会」の生みの親
5月10日、早乙女勝元さんが90歳で旅立たれました。「東京大空襲・戦災資料センター」の設立に尽くされ、とくに3月10日の頃には、朝日新聞の「声」欄に、投稿された文章がよく載りました。「声」に寄せた投稿は30本以上。戦争の悲惨さ、記憶を受け継いでいくことの大切さんを語っておられました。
早乙女さんは、私たちの会になくてはならない方でした。早乙女さんなくしては、この会は生まれなかったでしょう。世紀が新たになった頃でしょうか。「日曜科学クラブ」という学校以外の学びの場を一緒に担ってきた久保崎文枝さんから「姪っこが映画を作ると言っていて、コスタリカの映画なんだけれど、ちょっと手伝ってもらえるかしら」と何やら面白そうな話。姪というのは、早乙女愛さん。お父さんの勝元さんが「軍隊のないコスタリカ」に魅せられ、基地に占領されている沖縄から発信して「平和なコスタリカ」を描くという企画を立てました。そのときのタイトルはたしか「沖縄からコスタリカへ」。プロデューサーを任された愛さんは、「若いセンス」で、「軍隊の無い国」で軍隊を描くという難題に取り組み、完成させたのが、山本洋子監督の『軍隊をすてた国』でした。私は翻訳をちょっと手伝いました。ちょうど、コスタリカから弁護士のバルガスさんをよんで「コスタリカの平和」についての講演会を、この映画の上映とともにオリンピックセンターで開催したのが、「コスタリカに学ぶ会」のはじまり、でした。映画の企画がなかったら、このタイミングで会が生まれることはなかったでしょう。
早乙女勝元さんは、戦争の悲惨さを語り継ぐことで、絶対に戦争のない平和な国を、とことさらに願っておられました。だからこそ「地球上には小さいけれどコスタリカという軍隊を捨てて平和を創り出している国がある」ということをどうしても伝えたかったのだと思います。2001年(第33回)ピースボートの世界一周クルーズに、日本からベトナムへの旅の「水先案内人」として『ベトナムのダーちゃん』を著した勝元さんにぜひ乗船してほしい、とスタッフから相談があり、私が早乙女家に伺ってお願いをすることになりました。船旅はとても楽しかったようで、私も「よかった!」との報告の電話をいただきました。
訃報に接して、お会いしたあれこれの場面を思い出します。世田谷・経堂での当会学習会に来てくださったことがあります。あれは、保坂展人世田谷区長による「世田谷発・日本再生プロジェクト」講演の際ではなかったでしょうか。
しばし、お会いすることがなかった勝元さん、5月20日のご葬儀の場に伺うことはできませんでした。翌日の新聞に、喪主を務めた愛さんのご挨拶の言葉が載りました。『平和は歩いてきてくれない。その火を消すな。どんどん薪をくべろ』という勝元さん語録の一節を紹介。そして「当たり前の日常が毎日毎日続くことが平和である。平和は奇跡的な状態にすぎないんだということを強く思った人です。どうぞ皆さんの手で、これからも薪をくべてください」と愛さんは締めくくりました。
「薪をくべる」・・・それこそが、「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」に勝元さんが託してくださったバトンなのではないでしょうか。
星野弥生
2001年10月、早乙女さんの娘さんである私の娘と同じ名前の愛さんが作った映画『軍隊をすてた国』の上映会を企画しました。当時イラク特措法など有事立法が成立し、今もそうですが平和の危険が議論されている情勢の中、オリンピックセンターで上映会を行いました。このとき、コスタリカ大学の教授で核兵器禁止条約の草案作成に参加した世界反核法律家協会の故・バルガス教授の講演も行われました。民主・社民・共産の国会議員も参加し、300人近くの集会は大成功を収めました。
そのため、一日だけではもったいないと実行委員会を立ち上げ、「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」を結成し、私と中山弁護士が共同代表となりました。現在まで特に安倍元首相の言う、戦争をする国の積極的平和主義でなく、戦争のない、軍隊も捨て、あらゆる生活の中に平和を、特に平和教育を小さいときから話合いで紛争を解決することを目指したコスタリカの、ノルウェーの学者ガルトゥングも唱えている本当の積極的平和主義を、日本において広げる活動を現在まで行ってきたのです。その出発点に早乙女さんがいたのです。
そしてこの会に多くの東京大空襲の被害者の方々が参加するようになり、最高裁の「受忍論」で多くの弁護士から断わられて、早乙女さんから中山さんと僕に頼まれたのが東京大空襲裁判だったのです。早乙女さんも法廷で陳述し、裁判でどうにか司法は駄目でも「立法機関で解決せよ」との判示を獲得して今国会で超党派議員連盟ができ、被害者支援の立法案もできて、自公与党以外のすべての野党が賛成しました。
被害者の皆さんと超党派議員連盟の皆さんと最後の闘いを頑張って、亡くなった早乙女さんの遺志を実現しようと中山さん共々頑張っています。
児玉勇二
2002年3月、満60歳で原発メーカーを定年退職する直前に、中学時代の同級生から誘われてドキュメンタリー映画『軍隊をすてた国』の公開上映会会場での手伝いに参加したことが、早乙女さんと知り合う縁だった。それから既に20年が経ち、上記上映会がきっかけで生まれた当会に参加し、今では日本もコスタリカのような非武装中立の絶対に戦争をしない国にすることをライフワークとして日々過ごしている。
早乙女さんが小学生で体験した東京大空襲を一生をかけて次世代に伝え続けた姿が私を導いてくれている。心よりご冥福をお祈り申し上げる。
小倉志郎
「出会ってうかがったこと、伝えていきます」
著名な作家さんですが、軍隊を捨てたコスタリカをご紹介いただいたご縁で親しくさせていただいたことが、私の歴史の中でぼんやり浮かんでいます。東京大空襲裁判では、国側をして「早乙女氏を証人とするのは有害」と言わしめましたね。本当のことを確かな描写で法廷に放たれることに恐れをなしたのでしょう。もちろん原告側からの猛攻で撤回させ、法廷での証言を獲得しました。圧巻でした。法廷外でのお話でしたが、3月10日のあと言問橋を歩いているとカチャカチャ音がするので足元を見るとおびただしい足袋の小鉤(コハゼ)が折重なっていたという話、ゾッとしました。大切なことを語り伝えてくださる方がいなくなったことは寂しく残念ですが、出会って聞かせてもらったことは伝えていきます。
杉浦ひとみ
早乙女さん 独ソ戦(第二次世界大戦)の犠牲となった少女の取材で、85年冬に旧ソ連レニングラード(現サンクトペテルブルグ)に同行させていただき、ありがとうございました。
1941~42年冬、電気・ガス・水道も食糧も絶たれ封鎖されたかの地では、飢えと寒さで63万もの市民が亡くなりました。氷点下の現地で過酷な戦禍の歴史に触れ、たいへんな衝撃を受けました。これ以降、戦争と平和について目にしたり考えたりすることが多くなり、今日の私となりました。
キューバ、デンマークなど他の取材先には仕事の都合で追っかけ叶わず、退職後はぜひ!と楽しみにしていたので残念でなりません。
85年から私の人生観が大きく変わり、それにとても感謝していることは、はっきりお伝えしていなかったので、そのうちお話しします。それまでもうしばらくニコニコと見守っていてくださいね。ではまた。
宮副ひろ子
第8回総会記念イベント
「子どもたちと考える戦争・平和」
2022年5月29日(日) 世田谷区宮坂区民センター
星野弥生(世話人)
テレビの画像で「ウクライナで起こっていること」に日頃接している子どもたちは、いったいどんな気持ちで見ているのだろう。そこに映っているのが同じ年ごろの子どもたちだったりしたら・・・。そんなことがとても気にかかり、総会のあとに、「子どもたちと考える戦争・平和」と題する記念イベントを企画することを思い立ちました。
「せんそうはどうやったらとめられるの?」「日本でせんそうが起こったらどうなるの?」・・・沸き起こってくるであろう疑問にどうこたえるのか、きっと大人が試されることになるのだろう・・・。かわいいキャッチーなチラシもできあがり、「平和教育」に力を入れている和光小学校にも全校配布をお願いし、迎えた当日。なぜか、子どもが姿をあらわしません。子どもたちの話をききたいと思う大人たちはいつになくたくさんいたのでしたが。今どきの子どもは、日曜日は特に忙しい、個別に声をかける暇がなかったのが悪かったのか、言い出しっぺとしては反省しきりでした。
懺悔しても始まらないので、「子どもたちと考える」かわりに自然と「子どもたちに伝える」会となっていきました。自己紹介の中では自らが戦争を体験した方もいらっしゃいました。「5歳のときの記憶があります。戦争の持つ悲惨さ、怖さを子どもながら感じました」(Yさん)、「兄が16歳のときに海軍を志願しました。自ら志願するような教育を受けてきたのですね」(Oさん)、「国民学校の生徒だった。いつか戦争に行かなければならないと覚悟していました。戦争というのは腹が減るもの。戦争をやらないとやっていけないと思っている人たちがいるのではないでしょうか」(Iさん)。
「戦争ってこんなものだよ」と子どもたちに伝えたいのは、「ふつうの人たちが被害者になるということ」「武器を使い果たすまで戦争は終わらない」「戦争は人殺しの道具を売るお店をもうけさせます!」「戦争がどんなに家族に影響を与えるか。人生を根こそぎ変えてしまうのが戦争です。ウクライナの今後の影響が心配です」。
ウクライナのことが気になります。「ウクライナに寄付をすると、それが武器になってしまうことがある」「戦争は始めたら、始めちゃったもの勝ち」「メディアは信用できない。テレビだけ観ていては本当の情報はわからない」。この場にはいなかった子どもたちに、ぜひ一人ひとりの参加者が伝えていってほしいと願います。子ども、孫、生徒、いろんな立場で。
この日もちょっと話題にのぼりましたが、『せかいでいちばんつよい国』(デビッド・マッキー作 光村教育図書 2005)という絵本を、ぜひとも子どもにも大人にも読んでいただきたいと思います。子どもたちだけでなく、大人にとっても「戦争」を考えるうえで最適です。
世界でいちばん強く大きな国の大統領が「せかいじゅうの人たちをしあわせにするために」世界中の国を征服します。ひとつだけ征服されていない国は、小さな国だったので、ほうっておかれました。でも、大統領は、のこしておくのも気持ちわるいので、ある日兵隊たちとしゅっぱつします。大統領がおどろいたことには、この国には軍隊がなく、たたかう気もありません。大きな国の兵隊たちは、歓迎され、武器をおいて小さい国の人びととおしゃべりをしました。怒った大統領は、たるみきった兵隊を国におくりかえし、あたらしい兵隊をよびますが、同じことが起こります。大統領は「ちっぱけな国に兵隊はいらないということか」と国に帰りますが、大きな国に変化が起こります・・・。あらためて読んでみて、これは子どもたちへの最高のメッセージだ、とうなずきます。兵隊のいない国とは戦争ができなかったのです。『軍隊をすてた国』の上映会を、世田谷の若いおかあさんたちが行い、私も少しだけコスタリカの話をしたのでしたが、そのときにいただいたのがこの本でした。
子どもたちをまんなかにして戦争や平和を語り合う場というイメージは不発に終わりましたが、「こども」や「若者」を想定しながら考える、というこれまであまりなかったチャンスにはなったのではないか、と負け惜しみの私です。あきらめるのではなく、未来を生きることになる人たちとつながりあっていかなければ、「戦争」も「平和」を考えることも現実味を持たないものになってしまうのではないでしょうか。
~ 2020, 2021, 2022,… コロナ禍における新しい試み ~
第18回「コスタリカ・オンライン勉強会」
「どうする?円安と物価高の日本の経済」
講師 衆議院議員 落合(おちあい)貴之(たかゆき)さん
2022年6月21日(火)
今、円安がかなり進んでいる。これが物価を上げることにつながっている。食料自給率が低い(38%令和3年)日本は多くを輸入に頼るので円が安くなる(年初110円台が130円台に)と食料品の価格も上がる。加えて2月24日からのロシアのウクライナ侵攻により、食料輸出国2カ国からの小麦等の輸出が困難で食品全部の価格が上がっている。
――円安の原因は何か。
アメリカが金利を上げているが日本はゼロ金利のまま。投資家はドルで運用した方が金利が上乗せになるので円からドルに資金が流れる。結果、円がさらに安くなる。
――日本は利上げしないのか。
金利を上げると景気は減速する。日本はコロナで景気が落ち込み回復していない。金利を上げると中小企業は利払いができず倒産してしまう。金利を上げているアメリカはコロナ前より景気がよく、去年も5.7%成長している。ヨーロッパもコロナ前よりも今の方がGDPが高い。残念ながら金利差は放置をせざるを得ない状況で、円安を止める手段はほぼないのが現状。
――ではどうすればいいか。円安でインフレが起こっている。
手段は正直それほどない。しいて言うならば、消費税を下げること。消費税は物価に含まれるので物価に反映する。かつて消費税を2%上げたとき、物価が2%上がった。今消費税を5%下げたら物価は大体5%ぐらい下がる。
――本来、金利の上下で物価を調整するのだが、それができなくなったのは。
超金融緩和をしたアベノミクスの副作用だ。あまりにも大規模な金融緩和をしすぎて、そこから出口がないと言われている。低金利のままいかざるを得ない。
――今後金利を上げ下げできない場合に何が起こるのか。
アメリカは一定のところまで金利を上げたら景気が減速するので今度は下げ始める。するとアメリカとの金利差が縮むのでものすごく円高になっていく。このようにずっと、アメリカの金融政策に左右される経済となる。だから金利が上げられるような経済状態を作る必要あり。そのためには個人消費の上昇が必要で、そのためには賃金を上げること。岸田首相が最初言っていた「賃金を上げる」というのは正しかった。ところが、公約からなくしてしまった。残念なことになっていると思う。
――アベノミクスで株価が上がったのになぜ景気が良くならなかったのか。
2012年からアベノミクスが始まったが、民主党政権と比べると86%しか世帯消費がない。株価が高いのでカモフラージュされているが、不況に近い状態。しかもGDP自体も統計偽装があり正しいのか不明だ。アベノミクスは9年近く経って、賃金は100が101と1%増加したのみ。物価は6.9%上がっており、実質賃金は下がっているから消費が増えない。年金は物価にスライドして支給額も上がっていたが、今回年金は下がっている。今は物価だけではなく、現役世代の賃金も連動して年金の支給額が決まるためだ。現役世代の賃金が上がらないと年金も上がらない。だから、とにかく賃金を上げていかないと経済はうまくいかないのが現状である。
――株価が上がり、アベノミクスは成功(?)したと政府は言っているのになぜ賃金が上がらないのか。
問題は、日本の法人のお金の使い方だ。売上が下がってるのに利益は上がっている。株価が上がったのは株が買われているから。日本の株の売買をしている7割は外国人。外国人(主に米国)投資家の圧力で配当金を増やした。そのために設備投資が25年間に25%減、給料も5%減にして配当に回した。しかし設備投資をしないから競争力が下がる。日本の企業の技術力はスマホもマイナンバーカードも作れない状態。配当金の割合が上がっているというのはアベノミクス以降顕著。2000年代前半に小泉・竹中改革でこの流れができ、それを加速させたのがアベノミクス。
――「株主資本主義からの脱却」が必要
岸田首相は当初それを言っていたが、5月、ロンドンの株式市場に行き「岸田に投資してくれ」と言った。つまり、株主に還元します、との宣言。賃金を上げる、人に投資すると言っていた「新しい資本主義」を言わなくなってしまった。期待をしていたのに残念だ。
以上
落合貴之さんプロフィール
1979年東京都世田谷区生まれ。元銀行員。国会議員秘書を経て2014年12月衆議院議員となり3期目。
立憲民主党・東京6区。当会会員。
http://www.ochiaitakayuki.com/
「憲法を改悪させないアイデア」
~オンライン勉強会メンバーからの提言~
本年7月10日投開票の参議院選挙の結果、自民党が大勝し、衆参両院で改憲派議員数がともに3分の2を超えてしまいました。いつ、改憲発議が行われるかはわかりません。最悪の場合、発議後の国民投票によってストップをかける他はありません。そのために私たちとして何ができるか、具体的な行動について当会オンライン勉強会のメンバーからさまざまなアイデアをいただきました。皆さん一人ひとりの行動の参考にしてください。
(会員)
「コスタリカから何を学ぶか?」映画で知ったことだが、コスタリカの人たちは子どもの頃から具体的な行動で不断の努力を根気よく続けているようだ。我々日本人はこの点が足りないように思うので、自ら参加し行動することを一層心がけたい。
(会員)
日本国憲法は、主権者の国民も為政者も安心して暮らせるルールと言える最高法規なんだよね!と共有できる「憲法ワークショップ」の開催、近親者との会話を重ね、改憲派も頷いてくれるよう話す術を身に付ける。そして、改憲反対の署名や内閣に効力のある抗議を実現するためには、まとめることができる人を立て、できるだけ大きくまとまることは必須だと思います。
めぐろせたがや市民連合
今回の参院選では、3月から「ホップ・ステップ・ジャンプ街宣」と名付けて展開。主要駅頭(自由が丘、三軒茶屋、二子玉川、下北沢、経堂など)で、分かりやすいフレーズの大書き墨書による横断幕、各種プラカ、語り掛け口調の録音音声、風船、チラシ、鳴り物を、約1時間、スタンディングで訴えた。約60回、延べ380人(一回5人~30人)が参加。最後1週間の連日街宣は、北杜市に倣って、「投票率向上」運動に徹して訴えた。
(参加者)
私たち市民は、子どもたち、未来の子どもたちのために、家族の会話から始めて熱伝導のように伝えていこう。お茶飲み話の種をまこう。
(会員)
現在参加している「憲法カフェ」は、大事にしたいと思っています。
(会員)
私は、武器とは表現しないで、「人殺し破壊道具」とする。そして軍隊は「人殺し破壊集団」と表現する。言葉のもつ力で訴求し続けたい。結論は「非武装・不戦」の誓いである。
(会員)
戦争に向かう日本政治の危機的状況を丁寧に国民の皆さんにどれだけわかりやすく伝えられるかで勝敗が決まります。そのために、街宣、紙芝居、対話、講演などアイデアを駆使して。
(会員)
東京・中野で、改憲阻止に向けたポスターとステッカーを制作していく運動に取り組んでいます。作品は広く応募中で、9月から制作に入ります。
自民党が年初から展開している「憲法改正の主役はあなたです」という、おそらく電通が制作したポスターに対抗するためです。
(会員)
6年前から実行している一人デモを続けます。外出の際は必ず、身体の前後にプラカードを吊るし、街頭では歩きながらハンドマイクでメッセージを読みます。
いつでもどこでもできるこの一人デモをする仲間を増やします。
(参加者)
即効性のあるものではないが、長期的展望に立って、子どもたちが日本の受験体制に巻き込まれる前の早い段階で、民主主義、憲法、基本的人権、平和などの問題について、面白く、興味、関心を持って読めるような絵本、あるいは児童書、一般書を提供する。
(久留米コスタリカ会員)
①行なっていること:中学校での憲法学習、平和学習。平和を語る夕べというステージで平和の曲を演奏。我が子や教え子を高校生平和大使などに導く。
②アイデア:TikTokなど。スポーツ選手や芸能人を巻き込むこと。お金があれば、駅などで一斉にポスターや液晶画面に、憲法を守るメッセージを写す時間をつくる。憲法まもろうパンやTシャツなど商品化して話題にしたり、できれば流行らせたりする。買ってもらうだけではなく、着てもらう。街中でも着ていられるシルエット、色、デザイン、素材、値段。
(会員)
上野原市で「こどもの部屋運営委員会」代表として、小中学生に接している。彼らに順法、とりわけ憲法の基本平和理念、即ち、非武装中立をしっかり学ばせる。
(参加者)
政治、経済、労働、文化、環境、健康、生活、教育、自治など、憲法の理想や考え方を、身近な体験や表現を通して周囲に知らせ共有したいです。会話やホームページを使ったり、政治集会への参加もします。
(久留米コスタリカ会員)
全国に100人の護憲リーダーを立てよう。彼らを中心に護憲運動を造ろう。「れいわ」の山本氏が良い例だ。「1000人委員会」辺りが音頭をとったらどうか。
(会員)
「開運 憲法おみくじ」(可愛いのがいい)を作り、気軽に引いてもらう。大吉、中吉、小吉、凶のほかに憲法の重要点を簡単に記載する。「憲法に自衛隊を明記したらどうなるか」「緊急事態条項があるとどうなるか」など。
シールアンケートのときにおみくじを引いてもらうのもいいかな。
コスタリカからの便り「子ども選挙」
2月6日(日)は、4年に一度の大統領選挙の日でした。国会議員を選ぶ選挙も同時に実施されます。
前回の大統領選挙が行われた4年前、東京の旅行会社で働いていた頃は、この日に合わせてコスタリカツアーを企画していました。コスタリカでは、選挙はお祭りのようだといわれます。各政党のテントが並び、黄色や青、オレンジなど政党の旗がたなびき、選挙グッズを持った支持者が集まり賑わうようです。
コスタリカは、18歳から選挙権が与えられますが、17歳までの子どもたちも意思表示をする機会があります。今年、私は国立子ども博物館で子ども選挙の様子を見学。この時期にコスタリカに居合わせるのだから、と密かに楽しみにしていました。
朝10時前、会場に到着すると、お城のような博物館をぐるりと囲むように親子の長い列ができており、3歳くらいから10代くらいの子どもとそのお母さんやお父さんが、楽しいイベントを待っているように並んでいました。オレンジ、白や緑の政党の旗を肩にかけたり手に持ったり、旗と同じ色のTシャツの親子もいました。
サンホセのダウンタウンから、博物館に続く坂道には車がずらりと並び、子ども連れの家族がぞくぞくと会場に向かってきます。政党の旗がはためく車が、注目を集めるようにクラクションをブッブーと鳴らしている様子をいくつも見ました。
子ども選挙は、子どもたちの政治への関心を育てるために、大人と同じ方法で行われる模擬選挙。投票用紙も大人と同じです。いつから始まったのかは、はっきりと分かりませんが、コスタリカに長く住んでいる方のお話では、すでに80年代には存在していたそうです。断続的に行われていた時期もありつつ、全市町村で行われているものではないようですが、今まで続いてきています。
「日本から来て、子ども選挙に興味があるので見学したいんですけど…」とGoogle翻訳の力も借りつつ、片言のスペイン語でお願いすると、「Moment.(ちょっと待ってください)」と言われたあと、投票会場になっている大きなホールの真ん中を指差され「真ん中で見学してください」とすんなり了解してもらえました。
子どもたちは、受付で、名前、IDナンバー、住所が書かれた名刺サイズのカードを受け取り、受付が終わった印に人差し指にインクをつけられて、その先の投票所に向かいます。スタッフに、投票用紙の記入の仕方や投票箱に入れるまでの流れを教えてもらって、いよいよ心に決めた候補者に「X」チェックして、段ボールでできた投票箱へ!投票が終わるとステッカーを胸にペタッと貼られて終了です。投票箱の前で携帯を構え、我が子の投票の瞬間を写真に収めている親子をたくさん見ました。楽しいイベントの記念撮影、という感じです。
またいつ出会えるか分からない、せっかくだからと、恥ずかしいぐらいカタコトのスペイン語でスタッフに少し質問をしてみました。その理解した限りでは、国立子ども博物館には、約1,000人の子どもが投票に訪れます。現在は、官民協力して行っているので、街にもよると思いますが、複数の施設で投票できます。
選挙の前には、子どもたちに向けた「政見放送」もあるらしく、お母さんやお父さんに言われて候補者を選ぶのではなく、子どもたちも自分たちなりに考えます。そのため、親子で別の候補者を選ぶこともあります。この期間、家の前に政党の旗を立てたり、車に立てたりと自分の主張を明らかにしている人もいて面白い。日本では、選挙ポスターを家の塀に貼るようなものでしょうか…。
大統領候補者も子ども選挙に現れる、との記事を読んでいましたが、この日もそのひとりが現れました。入口のところからテレビ局のカメラが追っていたので、すぐに気づきました。
コスタリカでは、選挙最高裁判所が選挙に関わる準備を全て行います。裁判所のなかにある機関で、市民に民主主義を根付かせる取り組みをしている部署が、教材作成など、子どもたちの民主教育にも携わっています。
もっとスペイン語が話せたら色んなこと聞けたのになあ、とちょっと残念に思いながらも、遊びに来るように楽しそうに投票所にやってきて、穏やかな雰囲気のなかで投票が進んでいく様子を見ていると、子どもの頃にこんな体験をしていたら、成長していく中で社会のことを考えることも自然になるかもなあ、と思いました。
子ども選挙の結果もきちんと集計されますが、得票数が1番多い候補者は、大人の選挙と同じになることが多いそうです。
コスタリカの大統領選挙は、有効投票の40%以上を獲得できないと当選できない仕組み。誰もこの得票数に到達しなければ、4月に上位2位の候補者の間で決選投票が行われます。
今回は、史上最多の候補者数、25人が争いましたが、結果は4月に持ち越しとなりました。
コスタリカより 遠藤茜
遠藤茜さんは、現在、国連平和大学のコスタリカ本部キャンパスで学んでいます。
<編集部より>
大統領選挙は決選投票の結果、中道のホセ・フィゲレス元大統領(67)を破り、元世界銀行エコノミストである、中道右派の社会民主進歩党(PPSD)チャベス・ロブレス前財務相(60)が初当選し、5月8日に大統領に就任しました。
なお、同氏は大統領選挙の第一回投票後、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が激化したことを受け、公式演説でロシアへの非難と全面的な反対姿勢を示したとのことです。(M)
提言!!
コスタリカ流で「国葬」を海外に撤回
弁護士 杉浦ひとみ(事務局長)
安倍元首相の突然の逝去に、岸田総理が拙速に国葬を決めてしまった。日を追うごとに、反対の声が増え、調査では反対が半数を超えている。
海外にも報じてしまったことから撤回できないと思っているかもしれないが、民意に従ってこれを撤回することは日本の民主主義を海外に示すことになる。
こんな例がある。
コスタリカは、2003年、当時のアベル・パチェコ大統領が米国のイラク侵攻に対して「支持」を表明してしまった。このとき大学3年(22歳)だったロベルト・サモラさん(現在は弁護士)が、コスタリカの憲法(軍隊放棄を規定)と「積極的永世中立」の原則、国際法に違反するとして裁判所に提訴。04年に「支持表明は憲法違反」との断が下され、政府は支持表明は撤回。米国務省のHPの有志国連合のリストからコスタリカの国名が削除された。(当時の米パウエル国務長官からロベルトさんの自宅にFAXが届いたそうです)
国の法に反する、と声を挙げたロベルト青年、適正に判断した裁判所、判断を米国に伝えたコスタリカ政府、そして、国の意思を尊重して有志連合のリストから国名を削除した米国に、敬意こそ感じても、どこにも不誠実は感じない。
日本も、国民の意思を尊重して、国葬撤回の報を国外に発することのほうが、民主主義国としての名を上げるのではないだろうか。
Facebook:https://www.facebook.com/hitomi.sugiura.79
新刊ご紹介
『今こそ平和を 戦争はいやだ 戦争裁判担当弁護士から』
弁護士 児玉勇二(共同代表)
今年の参議院選挙について自民幹事長が、32の選挙区に改選1人区で野党が候補者を一本化していれば前回2019年と同様に自民が22勝10敗と野党系に苦戦していたと言っていたほど、昨年の衆議院選の結果は、同じあけび書房から出版した『市民と野党の共闘 未完の課題と希望』のとおり、本気の共闘の威力への政権交代の恐怖感から、政権与党のみならずマスコミや補完政党や連合などからの、分断攻撃が激しく行われました。特に立憲の執行部のグラつきには私達本気の共闘を模索してきた市民運動の地域市民連合の不安と怒りは大きいものがありました。それ故に参議院選挙の際の私達地域市民連合の皆さんの頑張りは、必死なものがあり、世田谷区は投票率も高くなり、立憲野党の当選は確実なものになりました。
結果は3分の2を改憲勢力は軽く超えてしまいましたが、僕はそのときでも、国民の与党へのひとまずの支持は消極的支持にすぎず、むしろ与野党の接近を望んでいるものが多く、むしろ右傾化しているのは国会で、市民との乖離はますます大きくなっていっていることを指摘しました。政権与党は裸の王様となって安倍・菅さんのようにかならずつまずくことを私はメールで皆さんに強調しました。どうでしょうか。今その通リになりつつあり、黄金の3年を岸田政権は獲得したことと錯覚し、とうとう安倍首相の銃撃事件で死んだ安倍さんを国葬と一方的に閣議決定してしまいました。これはまさしく安倍さんと全く変わりのない、立憲主義に反して、国費は財政民主主義からも憲法83、85条で国会で決めなければならないのを、しかも国民に弔慰を強制しかねない戦後根拠のない憲法19条の思想信条の自由に反する国葬を、閣議決定で済ましてしまい、国会への説明もしない、できない状態に置かれてしまいました。銃殺は全く許されるものではないことですが、その原因が、母親の統一教会への1億円以上の献金の苦しさから、安倍首相がこの宗教団体にメッセージを寄せたことが大きな原因とされてから、自民党とこの団体との関連癒着が、また多くの人がこのカルト宗教で犠牲になっている問題が浮かび上がり、この団体との関連の隠蔽に躍起になっています。岸田自公政権は、コロナも今世界中で一番の国にもなって、政権の物価高と同じようにコロナ対応への批判も大きくなっており、以前と違って、その改憲の勢いもゆらぎ始めています。
世論調査でも、投票に際しての優先度では憲法はわずか2%から3%にすぎず、選挙後の共同通信の世論調査でも「改憲を急ぐべきだ」は37.5%、「急ぐ必要はない」は、58.4%でした。そんな中、私の以前から追求してきた、戦争裁判と平和憲法の裁判実践から、『今こそ平和を、戦争はいやだ~戦争裁判担当弁護士から』の名称で、政府のウクライナ戦争を契機にした、軍事力強化の動きと私たちの9条を平和の武器とした平和外交を推し進める動きと関連して、今までのアベ政治を総括して今後の日本の政治と平和を考える本を、改憲阻止に向けても出版した次第です。
■第17回総会報告
本年5月29日(日)、世田谷区宮坂区民センターにて開催した第17回定例総会での決定事項を報告します。
1.2021年度の活動報告、会計報告が行われ、承認された。
2.2022年度について、以下のことが承認された。
1)人事 (五十音順、敬称略)
世話人:小倉志郎 児玉勇二(共同代表) 杉浦ひとみ(事務局長) 杉嶋拓衛 中山武敏(共同代表)
星野弥生 松尾弘 三角忠 宮副ひろ子 渡辺敦雄(*)
(世話人退任:戸路裕子)(*新任、その他は再任)
監査役:福岡紀子
2)活動方針
本年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まり、戦争とは何かを目の当たりにし、戦争に至らない外交に努力することの必要性を痛感した。ところが、国内では軍事費2%(GDP比)への増強が便乗提案されている。
一方、2017年の初等教育から高等教育の公的支出が国内総生産(GDP)に占める割合は、日本は2.9%。比較可能な38カ国中37位である、とOECDが2020年に発表した。初等教育では教師の不足、大学生は生活のためにアルバイト、奨学金返済に苦しんでいる。軍事費を教育に回した1949年のコスタリカと同じ状況にある。今こそコスタリカに学んで平和を作るときだと、気持ちを一致して取り組みたい。
<参加者アンケートより>
初めて対面で参加。
(会員)
リアルな話、ぶつかり合い、熱い思いが聞けて良かった。
子どもさん、若い方の意見を聞きたくて来ましたが、残念ながら、やはり私と同様、高齢者の方が多いですね。
三鷹市 Mさん
平和への問題意識などを伝えてゆくのは、他の運動体どこでも苦労しているようです。ただ、入管関係の外国人支援では、大学生、高校生が中心で、皆さんしっかりした考えを持っているのに驚きました。
「コスタリカに学ぶ会」にご参加を!
「コスタリカに学ぶ会」は、2002年5月6日に開催した「映画『軍隊をすてた国』を観てコスタリカの話を聞く会」の実行委員会が中心になり、軍隊をすてたコスタリカ共和国の平和をつくる文化を広く、深く学び、平和をつくろうと発足しました。定例学習会や座談会の開催、通信発行、メール発信などを通じて、全国各地の会員が交流をしながら活動をしています。
年会費は、1口2,000円(4月1日より翌年3月31日まで)です。関心のある方はぜひご参加ください。
<年会費・カンパの振込先>
◆ゆうちょ銀行からの送金
口座番号:00130-3-388593(普通)
加入者名:コスタリカに学ぶ会
◆ゆうちょ銀行以外の金融機関からの送金
銀行名:ゆうちょ銀行 金融機関コード 9900
店 名:〇一九店(ゼロイチキュウ店)
口座番号:0388593(当座)
受取人名:コスタリカに学ぶ会
■イベントニュース■
■定例座談会形式(通称:A方式)勉強会
今後の開催予定
第433回:9月12日(月)14:00~17:00
第434回:9月25日(日)14:00~17:00
第435回:10月10日(月)14:00~17:00
第436回:10月30日(日)14:00~17:00
会場:文京区男女平等センター 実習室
参加ご希望の方は、幹事(小倉)までお問合せください。
「平和をつくり、保つために軍隊は要らない」という確信を持つ仲間を増やしましょう。
そのためにどうすればよいか、「対等な関係での対話」をしながら、一緒に考えましょう。
熱中症に注意しつつ、引続き感染対策に努めましょう。
体調に異変=発熱、咳、その他=のある方は参加をお控えください。
■通信編集長よりお願い
通信に関して気がついたことがありましたら、どんなことでも結構ですので、次のいずれかの方法でお知らせください。
メール:PXL11443@nifty.com
郵 便:〒240-0063 横浜市保土ヶ谷区鎌谷町272
電 話:090-8049-3178
(小倉志郎)
■通信発行元・連絡先
〒113-0033 東京都文京区本郷3-18-11 TYビル302
東京アドヴォカシー法律事務所内
「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」
(略称:コスタリカに学ぶ会)
電話:03-3816-2061 FAX:03-3816-2063
メールでのご連絡は、PXL11443@nifty.com 小倉まで
以上
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