―以下本日担当の小倉志郎さんの寄稿文の引用です。小倉さんは元東芝原発技術者で原発の設計段階から保守点検部門まで経験した日本で唯一の原発エキスパートですー

 私が小論文「原発を並べて自衛戦争はできない」を季刊誌「リプレーザ」第3号2007年夏号(リプレーザ社)に投稿してから15年以上の時間が過ぎた。

2008年の初めに同誌の抜刷り小冊子をつくってもらい、機会ある毎に人々に提供してきた。

何度かに分けて、累積5万6千部を印刷した。

この論文の主張は単純で「原発は武力攻撃されたら、どんな軍備を持っていても守ることはできない。

原発が破壊されたら、大量の放射能が環境に漏れ出し、日本は滅亡する。

役に立たない軍備は捨てて憲法第9条の文言通りの非武装になろう」ということだ。

この主張は、1950年の警察予備隊の創設を起点とする日本の再軍備とその後延々と続く軍備増強の流れにストップをかけようとするもので、日本の軍事大国化を目指す陣営にとっては非常に不都合な主張だ。

しかし、この15年余り、私の主張に対するまともな反論を一つも見たことがない。

世の中に数多く出ている日本の安全保障関連書籍でも原発が武力攻撃を受けた場合の対処方法について触れたものは私の知る限りゼロだ。

最近、私がSNS上で「武力攻撃から原発を守る方法を教えてくれ」と投稿しても回答がない。

反論がゼロとは不気味だ。

原発を抱えたまま自衛戦争することの危険性を見て見ぬふりをしながら、金が入るからと軍備を増強し続けているのかもしれないからだ。

2022年11月18日 記 小倉志郎

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