―以下本日担当の小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 呉と越は中国の春秋時代(BC770~BC403)の国で非常に仲が悪かった。

その呉の人と越の人が同じ船に乗って嵐にあった時に、助け合ったという話が孫子という古典に載っているそうだ。

つまり、敵対する者同士でも共通する困難や利害に対しては協力をするという教えである。

 古代から20世紀までの戦争では、戦争の結果として勝者と敗者があり得た。

しかし、21世紀の戦争においては、勝者はありえず、戦争に参加した国はもちろん、戦争に参加しない国を含めて地球上のすべての国々が敗者になってしまう。

もっと正確に言えば、敗者どころか動物の一種の人類として生き残ることすらできなくなる。

それは、今の兵器の破壊力が第二次世界大戦時代よりも桁違いに強力になり、かつ、原発で生み出された膨大な量の放射能がいたるところに置かれているからだ。

核爆弾が使われる核戦争が起きれば「核の冬」が出現し、農業による食糧生産量が激減し、人類全体が飢餓状態におかれる。

溜め込んだ放射能が環境に漏れ出せば、人類の遺伝子が破壊されて生殖活動ができなくなる。

いずれにせよ、人類は滅亡せざるを得なくなるだろう。

いまや、人類は春秋時代よりもはるかに規模の大きな「呉越同舟」の状態にある。

地球上の国々がさまざまな問題で対立していても絶対に戦争してはいけない所以である。

2023年2月27日 記

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