<第20回総会>
今、わたしたちは何をすればよいか
表明された一人ひとりの活動方針

小倉志郎(世話人)

 本年5月21日(日)、文京区男女平等センターにて、第20回定例総会を開催した。
 いつもの総会では、総会記念イベントとして平和をつくる活動に参考になる講演や映画上映などを行ってきたが、今回は例外的に、当会の「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる」という目的のために会員一人ひとりが実行できる活動方針および実際に行動してきた実績についてそれぞれ紹介していただいた。
 当会ができてから約20年。この間平和憲法の危機は何度もあったが、現在は、実のところ米中の覇権争いとその派生としての「台湾問題」、北朝鮮の動きの他、昨年2月に始まったウクライナ戦争など、国外の動きに扇動されるように、国内も穏やかさを失って、昨今の日本政府の政策がどんどん戦争に巻き込まれる方向に進んでいることから、出席者の危機感も高く、自ら活動してきたことやこれから活動を始めようとすることについて、積極的かつ具体的な話を聞くことができた。

【自分でできること(実行中を含む)】

Aさん:歌手の私は自分のコンサートで、歌と歌の合間のトークでコスタリカの紹介をしています。
Bさん:これまで胸中では平和を目指してきましたが、直接参加はしていませんでした。しかし、昨今の状況に危機感を持ち、当会の勉強会に参加しようと思います。
Cさん:共産党から自民党までカバーするミニコミ誌「奔流」の編集・発行を続けています。並びに、これまでに社会問題に関するドキュメンタリー映画を3本完成させました。今は4作目を製作中です。
Dさん:書籍『檻の中のライオン』等を参考に、自分なりに憲法の基本をわかりやすく工夫したチラシをつくり、配布しています。
Eさん:映画『コスタリカの奇跡』を観て、「コスタリカに学ぶ会」通信を読み、コスタリカの素晴らしさを知り、コスタリカに移住する決心をしました。8月中に出発する予定です。世界中にコスタリカの素晴らしさを広めたいです。(→航空チケット入手の都合により9月初旬に変更)
Fさん:いつでもどこでも自分の都合でできる一人デモを実践中です。これを続けながら同じことをしてくれる人を増やそうと思っています。
Gさん:当会の正式名称「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」の目的を達成するため、すなわち、我が国を非武装・中立にするために、地元の駅頭で通勤客が集まる時間帯に演説をしています。
Hさん:憲法第9条の戦争放棄と自衛隊を災害救助隊にすることを私なりの方法で提起したいです。
Iさん:憲法第9条の生まれた経緯が、決して「外国の押し付け」ではなく、幣原喜重郎の発案であったという事実を反戦運動の仲間に広めていきたいと思っています。
Jさん:「女たちの会」で皆が身に付けやすいスカーフを作りました。ミサイルが鳩に変身するイメージとピース(PEACE)の文字で、これを広めていきます。
Kさん:自分自身の主張を書いた自分の通信を発行しています。
Lさん:足が丈夫でないので、もっぱら文章を書き、地元の地域誌に投稿しています。読者は数千人います。

【できたらいいなと願望すること】

Mさん:コスタリカ大使館、第五福竜丸および東京大空襲・震災資料センターの見学会を多くの人々を集めて行うことを企画してはどうでしょうか。
Nさん:コスタリカの非武装・中立に賛同するのは、一般の国民にはハードルが高いと思うので、低いハードルをつくろうと思っています。方法はいろいろあってよいと思います。
Oさん:原爆の被害、東京大空襲、南京大虐殺など歴史を忘れないことが大事です。
Bさん:縄文人やアメリカ・インディアンは戦争をしませんでした。このことをわかりやすく伝える絵本かアニメを誰か作ってくれませんか。
Aさん:私たちの運動を広げていくには、これまでとは違った方法でやらねばならないのではないでしょうか?
Jさん:私たちのネットワークと他のネットワークが連携することが必要だと思います。
Kさん:今後の選挙でもやはり野党共闘は必要です。
Cさん:日本の軍国主義政治がいまだに継続していることの因果関係を理解するには、関ヶ原の時代まで遡って歴史を学び直す必要があります。

~2020コロナ禍以降の新しい試み~
「コスタリカ・オンライン勉強会」の報告とこれから

 2020年8月に始めたオンライン勉強会は、4年目を迎えた。参加者はときにより数名から20名。最初の1年は、コスタリカが軍隊放棄に至った経緯やその後も軍隊を持たずに永世中立を貫いてこられた理由のほか、コスタリカの歴史や地政学的な事柄、環境問題への取り組みや教育のあり方など、近時のコスタリカについても勉強した。その後は、日本の問題に目を向けてきた。2015年の安保法制の制定によって集団的自衛権が認められ、結果、自衛隊がアメリカと一緒に海外に武器を持って出ていけることになってしまった。憲法9条が骨抜きにされ、戦争の危険にさらされる状況となり、参加者それぞれが危機感のもとで勉強をし、戦争を回避するためのそれぞれの実践的な活動を紹介しあっている。
 コスタリカに学ぶ会の会員花岡しげるさんは、自衛隊を即時に災害救助即応隊にすべきだと、『自衛隊も米軍も、日本にはいらない!』という本を出版し、日本各地を行脚し、伝道している。また、日本は原発を並べて戦争はできない、とのメッセージをゼッケンに書いて身につけ、一人デモを実践している元原発技術者の小倉志郎さんは、路上や駅頭、ときには電車の車内でもゼッケンに視線を向けた人から「同じ意見です」と声をかけられる、との報告。また、広くわかりやすく問題点を指摘し、考えてもらおうという発想から、シール投票を地域で行なっているというグループの報告もある。シールを貼って賛否が可視的に表されるという形式は、ゲーム的で人の関心を引きやすいという面白い心理を捉えている。
 「戦争も軍隊もない方がいいに決まっているが、中国や北朝鮮が攻めてくるのではないか」という漠然とした不安を持っている人たちには、【軍隊をなくそう】だけでは通じない。
 例えば中国や北朝鮮、台湾の方たちの生の声、生の状況を知ることから始めるのがいいのではないだろうか。
 日本で流されている中国等に関する情報の中には正しくないものや、「仮想敵」と決めつける情報もある。
 そこで、実情を語れる研究者や在日の方などにお話を聴く機会をもち、中国は日中経済の強い関わりもあり日本を攻めてくることなど考えていないこと、北朝鮮は日本など相手にしてはいないこと、といった話も聞くことができるはずだ。
 そんな豊かな情報を、各自の地域のミーティングで広げたり、それぞれが持つ情報発信ツール(ブログ、SNS、チラシなど)を使って伝達したりする活動をされている人たちもいる。
 戦後生まれが85%を超える現代、戦争の悲惨さを後世に伝えていく活動も重要だ。
 「子どもが戦争にとられなくていいことは幸せだ」と語るコスタリカの人の実感を学ぶとともに、ウクライナ戦争の被害をもっと自分事として捉える工夫も必須である。

コスタリカに学ぶ会 オンライン勉強会
毎月第2火曜日20:00~

Zoom ミーティングでは、皆さんに安心してご参加いただくために、お名前の明示と顔出しにてビデオを常にONにしていただいております。参加費は無料です。
ご希望の方は、杉浦(sugiura@law.email.ne.jp)まで。

★★★会員・天野さんのオススメ映画
『夢見る校長先生』 2023/82分/日本
・プロデューサー・撮影・監督:オオタヴィン
・ナレーション:小泉今日子・配給:きろくびと、まほろば
 https://dreaming–teacherjp/

推薦文:今後の子ども教育を考えるうえで秀逸です。多くの方に今の日本が変えられる!と思ってほしいです。

★★★会員・山岡さんのオススメ本
『日本国憲法9条に込められた魂』
2016/鉄筆文庫/191頁
9条はなぜ生まれたのか。9条2項を発案した幣原喜重郎・元総理が、死の直前に語った貴重な証言(1951)を全文収録
椎薦文:幣原元総理が秘書に語った記録を憲法調査会事務局が印刷して公にしたものです。発言の結論は「原爆が開発された現代において、日本が先駆けて『非武装・不戦』の憲法を制定しないと、いざ戦争となり原爆が使われると、地球は放射能で滅びる」だと思います。

ピースアゴラ全国行脚
「沖縄編その2 読谷村、糸満市、コザ、普天間」

会員 花岡しげる

 前号に続き昨年11月の沖縄行脚の後編です。前編は沖縄が台湾有事の最前線基地として急ピッチでミサイル要塞化されている動きについて書きました。後編では沖縄戦の惨状を今に伝える戦争遺構の現在、嘉手納空軍基地周辺の反米闘争、コザ暴動(*)の起こった沖縄市の現在、そして今なお続く普天間基地反対闘争について書こうと思います。

1)読谷村

チビチリガマ入り口

 11月3日(木)文化の日、「沖縄・日本から米軍基地をなくす草の根運動」会員で沖縄詩人会議主宰の中正勇さんの案内で久しぶりに読谷村のチビチリガマを訪れました。最近は地元の人もめったに訪れない様子で誰とも会うことなく壕の入り口にたたずみ、当時この壕内に避難し集団自決に追い込まれた多数の村民犠牲者に黙祷を捧げました。1945年4月2日、避難民約140名のうち83名が自決し、内6割が18歳以下の子どもであったといわれる凄惨な壕の入り口には犠牲者の名前、彫刻家・金城実氏作詞による歌碑などが建っています。付近には「ハブに注意」の看板も。
 この壕内にはまだ肉親の遺骨などが残っており、入り口に立ち入り禁止の立て札がありました。
 二度と繰り返してはならない戦争の悲劇、我が子にまで手をかけた集団自決ですが、岸田自公政権はお構いなしに沖縄県民に新たな犠牲を生む自衛隊基地建設、拡張に躍起です。

シムクガマの中から見た入り口

 チビチリガマからさほど遠くないところにあるシムクガマを訪ねました。草むらの道なき細い道を下った突き当りにある壕は、なかなか表の道路からはわかりにくい場所にありますが5人の若者グループと会いました。ここも当時米軍に発見されてしまいますが、ハワイからの帰国者二名の島民が米兵と交渉し、また集団自決しようとする住民を説得し、約千人が全員無事に救出されたそうです。この壕には犠牲者がいなかったため中に入ることができたので、案内の中さんが外に待っているのも忘れて、しばらく中で避難生活の追体験をしていました。

1995年設置 シムクガマ「救命洞窟の碑」

2)糸満市
 最後に、沖縄戦最後の激戦地糸満市に移動し、何度も訪れたことのあるひめゆりの塔・ひめゆり平和祈念資料館に着きました。ここでは修学旅行の男女高校生の一団と一緒になり、館内はほぼ満員状態でした。生き残りの語り部はいないのか、語り部たちの証言ビデオの映像があちこちで流されています。
 資料館のあと、追い詰められた住民が身を投げた断崖を見て夕方帰りました。あたりには沖縄戦で命を落とした兵士を悼む北は北海道から京都など全国各地出身者の慰霊碑が、所狭しと並んでいます。
 未だに数千人分の遺骨が収集されないまま放置されており、この遺骨を含む土砂が辺野古新基地の埋め立て工事に使われているのです。沖縄で命を落とした18万人以上の死者を冒涜する行為であり、靖国参りをする自民党議員の愛国が口先だけとわかります。

ひめゆり部隊が傷病兵を看護した壕(立て坑)の入り口

3)コザ

ヒストリート正面

 11月4日(金)、宮古島に移動する前の半日を使って、コザ暴動の跡地を見てきました。琉球バスに乗って嘉手納基地そばの胡屋(ごや)のミュージックセンター前で下車。コザ・ミュージックタウンで、観光案内とエイサー関係の情報館のある1階ホールを管轄している部署に行き、コザ暴動の現場や米兵がたむろする場所などに詳しい花城さんにコザ周辺の名所などを聞いてから嘉手納基地の第2ゲート前まで歩き、ゲート通りにあるヒストリー館(ヒストリート)に立ち寄って、市役所職員の女性から過去の事件の説明を聞きました。
 大阪から来たというカップルが熱心に質問していましたが彼らは何回かここに来ているそうです。館内の展示資料は写真撮影禁止なのでコザ暴動の顛末と終戦直後の島民の収容施設の実態調査などが載っているパンフレットを買いタクシーで那覇到着までの間運転手と基地問題をいろいろ話しながら戻りました。コザではコンビニに買い物に来た2人の黒人米兵以外、殆ど米兵とは出会いませんでした。日中の外出は自粛強いているのかバーは軒を連ねていますが、昼間はシャッタ―が下りて閑散としています。
 米兵による交通事故をきっかけに起き88人が負傷したコザ暴動は今は跡形もありません。

ゲート通りの米兵相手のバー、クラブ

4)普天間

 11月7日(月)始まる普天間基地の野嵩(のだけ)門(Gate3)で毎週月曜日18時から10年以上続けているゴスペルを歌う会に飛び入りで参加しました。同行した新潟のクリスチャンお二人の情報によるもので、もちろん彼女たちも一緒でした。ゲート前に行くと既に40名ほどの老若男女が狭い歩道に並んでおり、男性の司会で会が始まりました。司会者は最初に毎週ここで皆が立つ理由を説明した後、聖書朗読。持参したアルトサックスで「We Shall Overcome」、「ダニーボーイ」、また私も知っている讃美歌をキーボードの女性奏者と一緒に伴奏。その後司会者が私たち4名のことを紹介してくれました。私は自著『自衛隊も米軍も、日本にはいらない!』を紹介後、「アメイジング・グレイス」を独奏しました。その後はまた讃美歌と「きよしこの夜」などクリスマスソングを共演。最後に再び「We Shall Overcome」を演奏して19時前に終了しました。途中全員で車道に向かって、車で行き交う人たちに手を振りながら歌う静かな運動はとても厳かで感動的でした。
 今回の沖縄行脚は沖縄本島の辺野古、普天間、嘉手納基地訪問に加えて宮古島の新基地も訪問、稲嶺元名護市長との面談も有意義でしたが、さらにハンセン病患者の隔離施設2カ所を初めてこの目で見て色々学ぶことが多かった旅でした。特に私の印象に残ったのは残念ながらオール沖縄の性格です。保守系議員がオール沖縄からの離脱の動きがあるとは聞いていましたが、オール沖縄そのものも私はハッキリと知らなかったことに気付きました。
 オール沖縄は、1)沖縄の米軍基地の縮小、2)辺野古新基地反対、3)オスプレイ反対、の3つの主張に絞って保革が一致して投票行動すると初めて理解しました。したがって日米安保条約廃棄、自衛隊廃棄などは全く主張に含まれていません。この前記3点だけを一致点とするオール沖縄の主張は憲法を一字一句変えさせないことだけを一致点とする全国の9条の会の不徹底な護憲運動とも共通するように思えて、少々物足りなさを感じました。ピースアゴラの非戦・非武装の目標を日本の世論とする努力の一層の必要性を痛感した行脚でした。

映画『東京夫婦善哉』―猫と夫婦の物語―

星野弥生

 まさか「主演女優」(!?)になるなどは予想だにしていなかったのですが、亡夫と私と猫のチャロを描いたドキュメンタリー映画が、6月から8月にかけて、渋谷と吉祥寺の映画館で一般公開されました。夫の稔がまさかの末期ガンで余命宣告を受け、「自分の生きざまとして受け入れられない」と抗がん剤も断ってから、私たちと45年以上も近所づきあいをしている友人が撮影を始めました。
 ともかく限られた時間、本人を撮影できたのは2か月足らずでしたが、その後、彼の兄妹、大学時代の仲間、気功の生徒さんへのインタビュー、一人になった私や家族たち、そしてネコ、と撮影を続け、昨年5月の三回忌の日、その後9月の下北沢で一日三回の上映会を行ったところ、とてもいい評価をいただきました。私たちはただ泥付きの無農薬の野菜のような素のままの材料を提供しただけ。それを美味しい料理に仕上げたのは監督や編集者、製作者です。
 今回、完成した料理を味わい共有してくださった方がたくさんいらして、毎日通った上映の日々が、さながら久しぶりに出会った友人たちとの特別な晩餐会のようでした。そして、いつも会い、日々の活動を共にしている友人たちに、私たちの知られざる面をもお見せしてしまったようです。
 映画というボールを投げかけた観客のみなさんが、どんなボールを投げ返してくださるのか、どんなキャッチボールができるのか、これからも楽しみにしています。

作品名…………….「東京夫婦善哉」(ドキュメンタリー映画)
公開日…………….2023年6月24日
監 督…………….藤澤勇夫
出 演…………….星野稔・星野弥生・チャロ
制 作…………….馬場民子
配 給…………….ビックリ・バン
制作国(年)……….日本(2023)
上映時間…………..107分
公式サイト…….. https://www.tokyo-meotozenzai.com/

 チラシの星野稔さん、弥生さんの学生時代の若々しい映像が心を掴んで離さない。
 同じように学生時代を過ごし、パートナーとともに年を経てきた経験を持つ者としては、若い頃からともに数十年を過ごした記憶が、同じようによみがえるからだ。
 この世で出会った偶然が、 豊かな思い出を作り、 引き裂かれ難い心のふれあいを残した。
 そして、「またお会いしましょう」、そんな言葉に する悠久の思いと切なさを感じる。(S)

 『夫婦善哉』という題名を見た瞬間、織田作之助の小説を連想し、さぞかし波乱のある現実のドラマかなと思いましたが、鑑賞してみると、学生運動中に意気投合したり、稔さんがスペインまで追いかけてきて、そこで結婚式を挙げたりなど、熱烈な愛情物語で予想違いでした。
 結婚後のお互いが個性的な生き方をしながら、その間で愛猫が重要な役割を演じて面白い。
 「事実は小説よりも奇なり」とはこの夫婦のことだと思いました。(0)

阿部真寿美さんを偲んで

杉浦ひとみ

杉浦(2003年1月 サンホセにて)阿部さん

 阿部真寿美さん(コスタリカ在住)が今年5月1日に亡くなられました。
 2003年1月に当会メンバーが中心となり初めてコスタリカを訪問した際に、コスタリカ政府観光局五十嵐義明代表のご紹介で通訳していただきました。その後もコスタリカに行くときには通訳をお願いし、深く信頼関係ができ、個人的にも以後20年親しく交流がありました。日本からの要人の通訳はほぼなさっていた実力のある通訳さんです。
 あるとき、阿部さんから日本の最高裁判所の判事がコスタリカを訪問すると聞き、「法律の系譜には、英米法系と大陸法系というのがあって・・・」などとお話をしたら、判事の訪問が終わった後、阿部さんに「そのお話がたくさん出てきて、たまたま伺っていて助かりました」と言われたことがありました。
 たまたまではなく、ご自身が通訳するのに必要な守備範囲に関心を張り巡らされていたのです。事前の勉強を徹底してなさる方で、訳を省略しないし、独自の意訳もされない、信頼できる方でした。当会とゆかりのある故バルガス教授、ロベルト・サモラ弁護士とも親しく、当会にとっても大切なコスタリカの友人でした。阿部さんの発案でコスタリカの子どもたちの気象観測に日本の鯉のぼりを送ったこともあり、コスタリカと日本の大きな架け橋となっていただきました。
 もう会えないのが残念ですが、本当にありがとうございました。

A方式勉強会の始まりと現状

小倉志郎

 2002年5月のゴールデンウィークに開催した「映画『軍隊をすてた国』を観てコスタリカの話を聞く会」がきっかけとなり、上映会を開催した有志および協力者でコスタリカに関する勉強会が始まった。毎月1回程度、有識者を講師としてお話を聴くことでスタートした。それが1年続き、2003年6月に正式な名前を持つ会にしようという雰囲気が盛り上がり、相談の結果、「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」が発足した。
 さらに1年が過ぎ、2004年春の総会で、変化の激しい世界の動きを把握するには、もっと頻度を上げて勉強会を行う必要があると私が提案し、2週間に一度の割合で対面式の勉強会を開くことが認められ、言い出しっぺの私が幹事を務めることになった。
 第1回は2004年5月7日。以降、台風が東京を通過するときに1回中止、新型コロナウイルス騒動で文京区の公共施設が使用禁止になった期間はお休みし、それ以外は無事に続いて、この8月21日で455回目になる。
 勉強会のやり方は、フリートークを基本とし、出席は義務ではなく、宿題もなしとして、日本もコスタリカのように非武装・中立の国になるにはどうすれば良いかという会の目的達成に役に立つことを主眼にして、誰でも参加しやすいやり方を採用した。
 内容は時間とともに少しずつ変化を遂げてきた。当初は、目的達成のための運動のしかたをどうすればよいか?日本も正規軍を持つべきでそのために憲法を「改正」すべきという改憲論者に対してどのように論破したらよいか?などが話題になった。その結果として、非武装・中立の理論をまとめた報告書ができた。しかし、実際に改憲論者と同席して討論をする機会は得られていない。
 一方、現実の政治は2003年のイラクへの自衛隊派遣、続いてアフガニスタンでの米軍支援と、自衛隊が実戦に参加する実績ができてしまった。2014年の閣議決定をきっかけに翌年9月19日には集団的自衛権を認める安保法制が国会で成立してしまった。昨年2月24日のウクライナ戦争勃発を契機に、政府は防衛予算を倍増させる方針を閣議決定し、本年6月に国会で承認された。併行して、米軍の示唆の下で「台湾有事は日本有事」というフレーズがマスメディアで広められ、沖縄の南西諸島のミサイル基地化工事が具体的に進んでいる。国民に十分な情報を与えず、説明もしないまま、戦争がいつ起きても不思議はないくらいの状況が生まれつつある。
 そのような政治への国民の批判や反発はあまりにも弱い。
 そこで、約2年前から、改憲論者を論破できる理論の精密化よりも、政府のマスメディアを利用した情報操作で「洗脳」されつつある国民に対して、その「洗脳」を解く「宣伝」行動にエネルギーを使う方針に切り替え始めた。もう一つ大きな変化は、当会に途中から参加した花岡しげるさんが2020年1月に『自衛隊も米軍も、日本にはいらない!』という単行本を執筆・刊行してくれたことだ。(本年、同書の新版刊行)2025年中にコスタリカと同じ非武装・中立を実現しようと頑張っており、当勉強会も全面的に協力をしている。

■イベントニュース■

■第20回総会報告

日時:5月21日(日)13:30~16:30
会場:文京区男女平等センター

第1部
2022年度活動報告および会計報告、2023年度新人事などが5月21日付で承認されました。
今年度の人事:世話人:(全員再任)(五十音順)
小倉志郎、児玉勇二(共同代表)、杉嶋拓衛、杉浦ひとみ(事務局長)、中山武敏(共同代表)、星野弥生、松尾弘、三角忠、宮副ひろこ、渡辺敦雄
会計監査:福岡紀子(再任)

第2部
記念講演は行わず、岸田内閣による軍事予算倍増を含む戦争準備政策のゴリ押しによる戦争突入の可能性の高まりに対して、一人ひとりが今後どのように行動し、戦争に向かう国づくりを阻止するのか、参加会員に各自の思いや活動について紹介いただき共有しました。会としての活動は例年どおりとなります。

お知らせ

■共同テーブル「新しい戦前にさせない」
第6回シンポジウム
「マイナ保険証はいらない」―制度徹底解明―

日 時:9月12日(火)
    18:30-20:30(開場18:10)
会 場:文京区民センター2A会議室
    都営地下鉄三田線春日駅A2出口すぐ
資料代:800円
参加申込先:e43k12y@yahoo.cojp(定員200名)

「いのちの安全保障確立に向けて―非正規社会からの脱却宣言―」を掲げて、本年2月から「新しい戦前にさせない」連続シンポジウムを展開しています。(代表佐高信)シンポジウムはライブ配信もしています。
ぜひご参加ください。
https://www.kyodotable.com/

発起人:浅井基文、安積遊歩、雨宮処凛、伊藤誠、植野妙実子、上原公子、大内秀明、大口昭彦、海渡雄一、鎌倉孝夫、鎌田慧、金城実、綴緞厚、古今亭菊千代、佐高信、清水雅彦、白石孝、杉浦ひとみ(当会事務局長)、竹信三恵子、田中優子、鳥井一平、前田朗、室井佑月、山城博治

■定例オンライン学習会(Zoom)

■日  時:毎月1回第2火曜日 20:00~22:00(原則)
■参加条件:お名前の明示、顔出し、ビデオ常にON
 初めてご参加の方は、実名・ご住所をメールでご連絡ください。
 sugiura@law.email.ne.jp(杉浦)

■定例座談会形式(通称:A方式)勉強会

今後の開催予定
第456回:9月3日(日)14:00~17:00
沖縄諸島の軍事基地建設に関して、三上智恵監督撮影中のスピンオフ映画の上映および長沢和代さんによる「海上自衛隊演習の実態」スライドショーを行う予定です。

第457回: 9月18日(月)14:00~17:00
第458回:10月 1日(日)14:00~17:00
第459回:10月16日(月)14:00~17:00
第460回:11月 5日(日)14:00~17:00
第461回:11月20日(月)14:00~17:00

会場:文京区男女平等センター実習室
参加ご希望の方は、幹事(小倉)までお問合せください。
「平和をつくり、保つために軍隊は要らない」という確信を持つ仲間を増やしましょう。
そのためにどうすればよいか、「対等な関係での対話」をしながら、一緒に考えましょう。

■通信発行元・連絡先

〒113-0033
東京都文京区本郷3-18-11 TYビル302
東京アドヴォカシー法律事務所内
「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」(略称:コスタリカに学ぶ会)
電話:03-3816-2061
メールでのご連絡は、shiro-ogura@nifty.com 小倉まで

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