―以下元東芝原発技術者、小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 去る5月20日付け福島民友ネット版に「4300人駆け抜ける ふくしまシティマラソン、山の神も参加」という記事が載っていた。

福島市の中心市街を走る「ふくしまシティハーフマラソン」が19日に開かれたと。

福島市、市スポーツ振興公社、福島陸上競技会でつくる実行委員会が主催で、県、県教委、福島民友新聞社、他が後援と。

沿道では、地元団体やボランティアがエールを送ったと。

記事によれば、このイベントは盛会裡に終り、福島県の復興が着実に進んでいるような印象を受ける。

しかし、福島市がある通称「中通り」地域は3・11フクシマ事故発生時に双葉町、飯舘村経由で放射能気団が通った地域であり、いまだに剥き出しの放射性物質が存在している。

原発内だったら、全身を包むタイベック、ゴム手袋、全面マスク着用を義務付けられる「汚染管理区域」と同等の汚染度である。

ノーマスクで素肌を環境にさらす姿で走ったであろう参加者は全員が放射性物質のチリを体内に取り込み、今後長期間にわたって内部被ばくをすることだろう。

現役時代に約20年間も原発の放射線管理区域内で働き、厳しい内部被ばく防止の教育を受け、さらに、「内部被ばくの脅威」など肥田舜太郎さんの著書を読んで勉強した私の眼には上記のイベントは「気違い沙汰」のように見えてしまう。

同イベントに関して、ネット上で他のメディアの記事を覗いたが「内部被ばく」の危険性に言及する記事は見当たらなかった。

2024年5月22日 記

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