講座では東京新聞編集局次長の松井学さんと科学部記者の永井理さんが登場し永井記者が約70分話されました。永井記者は先ごろ亡くなったノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さんを受賞前から取材をしていたそうです。益川さんは楽観的で「200年たったら戦争はなくなる」が持論だったそうです。「今は揺り戻し期なのかも知れない。でも日本は戦争から遠ざかる方向に動くと信じる」と。200年たったら世界中の戦争が無くなる、のか日本から戦争が無くなる、と言っておられたのか私はわかりません。しかし世界はいざ知らず日本からは100年はおろか5年以内に戦争を完璧になくそうとピースアゴラ(PA)は運動を始めました。科学と戦争の話に戻りますが日本の国立大学への運営費交付金(基礎的科学研究費用を含む)は2001年から2013年にかけて3割減少したそうです。注意すべきはこの間には民主党政権時代も含まれています。すぐに社会実装できる研究(霞が関用語ですぐにも研究成果が実用化される技術研究のこと)に重点的に配分が行われ、諸官庁が公募し採択した研究に出すお金、いわゆる競争的資金を倍増する計画がすすめられたと。日本の大学が防衛予算に頼って研究をしようとする動きは2015年の安倍内閣による安全保障技術研究推進制度制定以降特に顕著の様です。問題なのは身分の不安定な若手の研究者ほど政府の競争的資金に頼って研究しようとする比率が高いことです。故益川さんの口癖は「研究者はいつも戦争に加担させられ最後は捨てられる」だったそうです。私が敬愛する故チャールス・オーバビー博士も常々「我々科学者は世間知らずで自分の好きな分野の研究に熱中するあまりその結果がもたらす様々な不幸な結果の深刻さに気付かない。いわゆる科学バカが多い」と言っていました。オーバビーさんは朝鮮戦争中、米軍パイロットとし沖縄から北朝鮮への空爆作戦に参加しましたが、のちに空爆で地上にいた幾万の無辜の市民を殺害したことを悔い復員後は奨学金で大学に入り直して人文系の哲学や政治・経済学を学びました。民生用に研究開発された新技術が軍事に転用されるケースはいくらでもあります。

今回の講座でも視聴者から「どうしたらデュアルユース(用途が民生にも軍事にも使える)技術を軍事に転用させないようにできるか?」という質問がありましたが「難しい」というだけで明確には答えていませんでした。日本学術会議会員の問題についても「任命されなかった6人の学者を再度任命することができるか?」との質問にもはっきり回答しませんでした。

理系ジャーナリストの理性的遠慮なのかもしれないと思いますが私なら

はっきり

「今のアメリカ追随、戦前レジーム復活願望の保守政権を退場させて自衛隊を憲法第9条に即して廃止すること、国家予算による軍事研究を即やめさせること。

日本学術会議会員の任命拒否問題の解決には政権を変えるしかありません」と明快に答えます。

デュアルユースだの軍事転用だの、の懸念は自衛隊を非軍事組織「国際災害救助即応隊」に衣替えし防衛省を廃止して災害関連官庁を統合した「防災平和省」を創設することで一挙に解決します。

今度の選挙で政権交代を実現することは日本を正しい道へ軌道修正させる大事な一歩です。

2021年10月21日  記

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