本日の担当は元原発技術者の小倉志郎さんです

―以下小倉さんの寄稿文引用―

 日々の暮らしを振り返ってみよう。今の憲法の内容で何か困っていることがあるだろうか?正直なところ、私には困っていることは何もない。他の人々もそうだと思う。むしろ、憲法の内容が忠実に実行されないために困っている人々が沢山いる。「新自由主義経済」とやらの所為で所得の格差が拡大し、日々の暮らしで四苦八苦している人々が救われていない。一方、憲法で武力保持を禁止されているにも関わらず、毎年膨大な軍事費を支出している。この資金を国民の日常生活のために使ったら暮らしは格段に楽になる。

 憲法を変えたいと言っているのは自民・公明の政権側で、とりわけ自民党は独自の憲法草案をつくって虎視眈々と機会をうかがっている。同草案には憲法第9条を書き換えて正規軍を持つことが記されている。よほど今の憲法第9条が邪魔でしかたがないのだろう。

憲法の目的は、人々の基本的人権が権力者の横暴によって犯されないように権力者の行為を制限することだから、国民から変えようという要望が沸き起こる前から、権力者から変えたいと訴えていることだけでも、今の憲法が本来の目的を果たしている証拠だ。

 「今の憲法は制定以来70年余りを経て一度も変えておらず古くなったので、そろそろ新しい憲法に変えた方がよい」などとまるで古いスーツを新品に買い替えるような商品広告のような宣伝があちこちでしきりに聞こえている。憲法はファッションのように時代の流行に合わせて取り替えるスーツのような類のものではない。

 今の憲法は、数千万人の犠牲者を生んだ第二次世界大戦への深い反省と世界に平和な将来をもたらそうという願望に基づいて先人たちが作ってくれた宝物だ。憲法「改正」に向けて権力者が発する安っぽい美辞麗句に騙されてはいけない。

2021年11月20日   記 小倉志郎

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