国家の一番の安全保障は非武装中立である、との本書の提唱に対して反論がでるのは予想通りです。アマゾンの読者コメント欄で今も読める否定的意見の代表的ないくつかの批判コメントを要約すると

非武装中立論は、現実の世界の情勢を見ればただ現実と矛盾する理想論、夢想家の戯言に過ぎない。たとえ1%と少数かもしれないが、世界のどこかには必ず悪がいて日本を征服しようと虎視眈々と狙っている。だから我々は楽観せずに家の戸締り同様、まさかに備えて国家の戸締り(軍事力による武装)が必要だ。

これは「「悪い国からもし攻められたらどうする?」の典型的な批判の例“です

この不安から来る一般市民の疑問にたいして本書は「日本は地形的に考えても攻められる心配をする必要がそもそもない」と書いています。しかし私もただ心配無用と言っても不安心理は感情の問題なので簡単には消えないと思うとも書きました。

「安心のために国の戸締り(鍵の役割を持つ)強力な軍隊が必要(本書112ページ)」と言いますが国をすっぽりとカバーする覆いでもかけられるならば鍵もかけられます。しかし先の東京オリンピックでコロナ感染を防ぐためOlympic選手村をバブル(外界と遮断する)にしたのにうまくいかなかったことからもわかるように到底不可能です。

武力を強化すれば国の安全は保たれるか?

いくら世界最強であっても軍隊は国の戸締りの代わりには絶対になりません。今日の兵器技術の超速の進歩により完全な制空・制海権の確保は技術的・物理的に絶対不可能なことは明らかです。(本書142ページ)

したがって唯一の解決策(不安に対する答え)は外国から攻められることが起きないように日頃すべての外国と仲良くし平和外交、人道支援活動(ジャイロ)を進めて外国が日本を攻める動機を一つ残らず無くしていくことです。

「攻められたらどうする?」ではなく「攻められる心配がないようにするには日頃からどうする?」を実践することこそが唯一の現実的政策です。

「軍隊と最新兵器で外敵の襲来を未然に防げる」などと考えることのほうがずっと現実を理解しない夢想家的な戯言(ざれごと)です。

2022年1月20日 記

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