本日は元東芝原発技術者の小倉志郎さんの投稿記事です。

―以下小倉さんの投稿記事の引用―

 商品の販売競争においては、多少品質は落ちてもコストを削り価格を下げて大量に販売する方法と、高い品質を追求し販売価格を高くして販売数量は少なくても利益を確保するという方法がある。買い手はその商品を使ってみれば品質の良し悪しを自ら体験的に判断できるから、それぞれの懐事情でどの商品を買うか納得ずくで選ぶことができる。

 さて、政治の場での宣伝合戦ではどうだろう。どちらが世論の支持を多く集めることができるかの競争である。これまで、私たち護憲運動の仲間の間では、事実情報を証拠とした論理的な、すなわち「質の良い」理論を組み立てれば多くの支持を集めることができると信じてきた。ところが、社会で起きていることについての情報がどこまで本当なのか、すなわち、情報の「質」の良し悪しを国民一人ひとりが自分で確認することなどほぼ不可能である。従って、宣伝合戦の勝敗は情報の「質」よりも「量」に左右されているのが現実だ。

 ナチス流の「ウソでも100回宣伝すれば、国民はそれを本当だと信じる」を真似すべきとは言わないが、「質の良い正論」さえつくることができれば、政治家や官僚がそれを聴いて政策に反映してくれるとか多くの国民の支持が得られるという考えは甘い。自分たちの主張に多くの国民が賛同してくれるためには、宣伝の「量」を増やすことが必要だ。「量を増やす」とは同志以外の人々への宣伝を増やすことだ。

2022年2月3日 記 小倉志郎

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