本日の担当は元東芝原発技術者の小倉志郎さんです

―以下小倉さんの投稿文の引用―

 昨秋の衆議院選挙投票日の直前にたまたま大型書店の政治関係コーナーに並んでいた安全保障を論じる本を観た際、原発に言及している本が1冊も無かったことに驚いた。そのことをこのHPに「「権威者」の「国防論」こそ「亡国論」だ!」と題して投稿した。その時は、理由は誤解か無知、あるいは、タブーのいずれかだろうと書いた。

 その後4か月余りが過ぎた今、参議院選挙が近づきつつあり、且つ、1週間前からロシア軍が原発を沢山持っているウクライナに攻め込んでいることから、関連する書籍に何か新たな変化があるかと今日同じ書店の同じコーナーを覗いてみた。そうしたら、なんと第1刷が3日前という新刊本が見つかった。自衛隊がイラクに派遣された時、「ヒゲの隊長」で有名になった佐藤正久氏の新著「中国に勝つための地政学と地経学」(徳間書店)である。戦争のプロであり、現在は参議院議員の佐藤氏ゆえ、この本には原発を並べた日本をどう守るかについて書いてあるだろうと中身をざっと見たがやはり原発についての言及がなかった。どう考えても佐藤氏ほどの経歴の持ち主が無知だったり誤解したりするとは思えない。やはり、国防を論ずる際に原発に触れることはタブーに違いないと私は思う。

 原発について言及しない理由は、言及したら「軍事力で日本を守ることは不可能」ということが明白になってしまうからだろう。それは自衛隊が不必要だということに通じる。今、公にされている安全保障論は近隣諸国の軍事力が脅威だと盛んに煽るものがほとんどだが、それらは私たちの安全には関係なく、自衛隊の存在と増強を国民に認めさせるための宣伝でしかない。

2022年3月4日 記 小倉志郎

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