本日の担当は元東芝原発技術者の小倉志郎さんです

―以下小倉さんの寄稿文の引用―

 外国と紛争が起きた時に軍隊を使えば人間同士が殺し合うという悲劇が生まれるから外交で解決すべきだという説を護憲派の人々からよく聞く。つまり、外交で国を守れるのだから、わざわざ軍隊を使わなくても良いではないかという説である。誰が聞いても実にもっともらしい。しかし、これには気が付きにくい落し穴がある。即ち「軍隊を使うまでもなく外交で解決できる」という内容の陰に「軍隊でも国を守れるけれども」という意味が隠れているのだ。従って、この説をいくら強調しても憲法第9条に書かれているような「非武装」の日本を実現することに直接結びつかない。

 護憲派が本当に憲法第9条の文言を実現したいのであればもう一歩進んで「軍隊では国を守れない」と主張しなければならない。換言すれば「軍隊は国を守るのに役に立たない。だから、軍隊を持つ必要がない」である。実は、この主張の根拠は既に誰の目にも明らかな形で現れている。1.日本の海岸線には沢山の原発が並んでいて、この原発を軍隊では守れない。2.実際に戦争になれば原発が攻撃される。3.攻撃されれば原発の大事故が起きる可能性がある。4.大事故が起きれば国土の広い範囲が放射能で汚染されて、国民が安心して子どもを産み育てるという動物としての基本的営みができる国土を失う。これらは皆事実である。そして、国土を失うことは日本が滅びることである。

2022年3月31日 記 小倉志郎

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