本日の担当は元東芝原発技術者の小倉志郎さんです。

―以下小倉さんの投稿より引用―

 今年の2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻してから1ヶ月と1週間が経つが、今もウクライナ国内において両軍の戦闘が続いている。まだこの戦いに一つの名前が定着していないが、ここでは「ウクライナ戦争」と仮に呼ぶ。2003年にアメリカをはじめとする有志連合諸国がイラクに攻め込んだ戦争を「イラク戦争」と呼んでいることに習った。「イラク戦争」の時はアメリカ側が先に攻め込んだが、アメリカ側が「絶対悪」などとは呼ばれなかった。今回の「ウクライナ戦争」ではロシアが「絶対悪」と言う声が関連する情報の洪水の中で圧倒的に多い。リアルな戦争の形勢は不明だが、情報戦争では既にロシアが全くの劣勢である。

 一方、日本の「ウクライナ戦争」関係の情報では「だから、日本は軍備をもっと増強すべきだ」とか「憲法の9条を変えるべきだ」とか、さらには「核兵器も持つべきだ」という意見まで声高に聞こえる。「憲法9条を守るべきだ」という声も混じってはいるが、日本国内での「情報戦争」でも護憲派は全くの劣勢である。日本の軍備増強論者たちは強力な軍事力を持てば侵攻してきた外国軍を追い出せると思っているのだろうが、追い出そうという戦いの中でどれだけ多くの国民が犠牲になるかについて想像できていない。多くの国民が犠牲になるような戦いとなるなら、たとえ軍事的に勝利を得たとしても「国を守った」ことにはならない。要するに軍備増強論者たちは非戦闘員の市民に犠牲者の出ない「テレビゲーム」の感覚なのだ。こんな感覚の者たちの言説が優勢な日本は非常に危ういと言わざるを得ない。

2022年4月2日 記 小倉志郎

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