本日は元東芝原発技術者の小倉志郎さんの担当です。小倉さんはかつて新潟県柏崎刈羽原発に勤務し原発内部を熟知されています。

―以下小倉さんの寄稿文の引用―

 5月29日投開票のあった新潟県知事選挙で、現職の花角英世氏が新人の片桐奈保美氏に大差をつけて再選された。

花角氏は自民党の支援を受けて原発再稼働についての態度を明確にせず、片桐氏は原発再稼働反対を明確に示していた。

チェルノブイリ原発事故や東電福島第一原発事故の被害の大きさを知っている私は片桐氏が当選する可能性が大と個人的に思っていた。

選挙の結果は意外であり、がっかりした。

そして、なぜこんな結果になってしまったのかを考えてみた。

 原発は危険だから再稼働しない方が良いと思う県民が多いという事実と同時に、原発再稼働という自民公明連立政権の方針に逆らわない方が県にとって経済的なメリットがあると思う県民も多いのも事実だろう。

即ち、原発の危険性というデメリットと経済的メリットを秤にかけて、経済的メリットの方が大きいと感じる県民が多かったことが今回のような選挙結果を生んだのだろうと私は推測している。

今回の選挙結果を観て原発から漏れた放射能による環境の汚染の「怖さ」について県民の理解がまだ不十分なのだということを思い知らされた。

交付金で年に数十億円の経済的メリットがあろうと、そんなメリットは、国土が放射能汚染によりほぼ永久に人間が生物として生存できなくなることに比べたら、メリットなどと呼べない。

このことがまだ多くの国民に理解されていないのだ。

2022年6月1日 記 小倉志郎

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