本日は小倉さんです
―以下小倉さんの寄稿文の引用―
士農工商という身分制度があった江戸時代に政治権力を握る武士階級が下級の庶民を支配する手法をわかり易く示す2つの言葉がある。
一つは「百姓は生かさぬように、殺さぬように」。
もう一つは「百姓は知らしむべからず、よらしむべし」だ。
前者は百姓を生きるか死ぬかの状態の肉体的弱者の状態に保ち、後者は百姓を無知で知的弱者の状態に保つためだ。
両者を合わせて、百姓が武士階級による支配に逆らえないようにする効果があった。
事実、江戸時代は徳川家をトップとする武士階級が日本全国の庶民階級を分担して支配するという体制が日本史上最長の260年間も続くことになった。
それが幕末の「黒船」の到来によって、欧米列強との力の差を見せつけられて大混乱の末に武士階級の支配が終わる。
その後の「富国強兵」策が1945年8月15日の敗戦という大失敗をもたらし、新憲法の下に平和と人権尊重を柱とする国家が再出発したはずだった。
しかし最近の日本政治を眺めると、冒頭に記した江戸時代の庶民支配の手法が復活したように思えてしかたがない。
即ち、労働者は半分近くが派遣社員という不安定な条件下にあり、経済格差が広がり、余裕の無い生活を強いられている。
政府はウソと隠蔽で国民に政治の実態を知らせず、判断力を奪っている。
このようにして愚民化された国民は政府としては支配し易いだろうが、国家としては確実に弱体化している。
まだ姿の見えぬ新たな「黒船」が到来したら、日本は幕末とは次元の異なる大混乱になるだろう。
2022年8月10日 記 小倉志郎
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