本日は小倉志郎さんが担当します

―以下小倉さんの寄稿文の引用―

 「錦の御旗」とは、徳川時代最末期に始まった戊辰戦争(1868~)において、薩摩・長州を中心とする討幕派が掲げた旗印である。

自分たちは正当な権力者・天皇の軍であり、朝敵・幕府を倒すことを目的としていて、正義は自分たちにあることを宣伝するための道具であった。

薩長側に保護されていた天皇側近の岩倉具視ら貴族たちが考えた宣伝方法と言われている。

当時、幕府の将軍の権威も天皇に依存するという尊王思想が普及しており、この「錦の御旗」は絶大な効果を発揮した。

明治維新以降も政府は国民の支配に尊王思想を利用し、天皇が国家を統治する最高権力者であるという明治憲法を制定した。

そして天皇のお言葉である「勅令」「勅語」には国民は絶対服従しなければならないという教育を徹底して行った。

「天皇陛下」という枕詞が付けば、盲目的に政府の命令に従う国民の精神構造が、1945年8月15日の第二次世界大戦での無条件降伏まで続いてしまった。

 それでは、1947年5月3日に施行された新憲法の下で国民の精神構造は変わったのだろうか?

実は、まったく変わってないと言って良い現象が起きている。

即ち、「自衛」という枕詞が付きさえすれば、政府は何をやっても許されるという精神構造が国民の間にできてしまっているのだ。

これは非常に危険な兆候であり、現代の「錦の御旗」に目を眩まされずに自らの判断をする習慣を身に付けることが、再び戦争という地獄に落ちないために絶対に必要だ。

2022年9月16日 記 小倉志郎

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