本日は小倉志郎さんが担当します

―以下小倉さんの寄稿文の引用―

 催眠術師の「あなたは眠くなります」などという短い言葉を繰り返し聴いていると、普段の睡眠時刻ではないにもかかわらず眠くなって催眠状態に入り、暗示にかかり易くなる傾向が人間にはある。

18世紀から研究が始まり、その後精神分析や治療に応用されている。

一方、催眠状態に入った人を覚醒させるには催眠術師のノウハウが必要であり、素人が催眠術を掛けた場合、覚醒状態に戻せなくなる危険性がある。

この催眠現象には個人の場合と集団の場合がある。

 今、日本では「原発を並べて自衛戦争はできない」と言うと「それはその通りだと思うが、やはり軍備があった方が安心だ」と言う人が多い。

即ち、理性では「戦争はできない」と分っているけれども、「軍備があった方が何となく安心だ」と言うのだ。

先の大戦で地獄を味わった日本が連合軍に無条件降伏し、1946年11月3日公布の憲法第9条で日本は軍備を持たないと決めた。

ほとんどの国民が「これでもう戦争をすることはない」と大喜びしたが、それから76年を経た今、自衛隊という軍備を是認する国民が多くなってしまった。

戦争は嫌だと思いながら、軍備を持つという自己矛盾を是認するのだ。

これはもう私たち日本人が理性とは関係のない集団的催眠状態に入っていると言わざるを得ない。

個人でも催眠状態の覚醒は難しいが、集団的催眠状態から覚醒するのはさらに難しい。

「軍備が必要だ」という暗示にかかった集団的催眠状態から脱する方法を見つけることが私たちの喫緊の課題だ。

2022年10月6日 記 小倉志郎

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