―以下本日担当小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 何年前だったか忘れたが、市民グループ「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」の会員として、どうしたら日本もコスタリカのように憲法に書いてある通りの非武装国家になれるか悪戦苦闘している時に、カント著/宇都宮芳明訳「永遠平和のために」(岩波文庫、2005年9月5日第36刷)を読んだ。

カント(1724~1804)と言えば世界的に超有名な哲学者だし、タイトルも参考になりそうだったので、非常に期待をして読み始めたが、読み終わってみたら、実は拍子抜けしてしまった。

軍隊について「永遠の平和に到達したら、常備軍は不要になる。」と述べていて、それまでは常備軍の保持はやむを得ないこととしていたのだ。

そういう考え方では、私たち護憲派が日本国憲法第9条の文言通りにすぐに非武装を実践すべきという運動の参考にならないと期待を裏切られてしまった。

しかし、これはカントの思考が足りなかったわけではない。

カントが生きた時代の兵器は剣、槍、弓、鉄砲くらいで長距離砲など無く、仮に戦争が起きても人類が滅びるようなことにはならない時代だったから、戦争のイメージが今とは全く違っていただけだ。

もし、カントが核兵器や原発がある今の世界にいたら、同じタイトルでどんな内容の本を書くだろうか?

頭脳明晰なカントだったら、必ずや「非武装・中立」を「永遠平和をつくる」一番良い方法だと書くと私は信じる。

2022年10月27日 記 小倉志郎

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