―以下本日担当の小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 俵万智さんにとって七月六日はサラダ記念日だそうだが、五月二日は私の「恰好いい」記念日だ。

その日は10時に予約していた関内駅近傍の歯医者での診察が済んでの帰途、同駅で横浜市営地下鉄に乗ったところ、次の桜木町駅から、女子1人を含む高校生らしい6~7人の若者たちが乗って来た。

ドアの脇に立っていた私のプラカードを彼らは好奇の目で眺め、その内の女子が真面目な顔で「何て書いてあるのですか?」と訊いてきた。

大きな字で「原発を並べて自衛戦争はできない」と書いてあるのに。

そこで、「判らない?自分で考えてごらん」と私。

女子は一瞬首をかしげてから、「わかりません」と。

私が「原発は放射能を一杯溜めているから、戦争になると、その放射能が外に漏れ出して、福島のようになるのだよ」と説明すると、やっと「わかりました」と言う。

女子の周りにいた男子たちもつられて、私の周りを円弧上に囲んだ。

そこで私が後ろ向きになって、背中の「自衛隊を戦争のための部隊から災害救助即応隊にしよう」と書いたプラカードも見せると男子たちが「恰好いい!」と言い、一人の男子が私のプラカードを自分もしてみたいと言うので胸の方のプラカードを貸した。

すると、その男子が嬉しそうに胸に吊るし、他の男子がそれをスマホで写真撮影をした。

新横浜まで行く彼らと、私は横浜で降りて分かれたが、分かれ際に彼らから「ありがとうございました」と挨拶をされた。

桜木町駅から横浜駅までのわずか5・6分の名前も知らぬ若者たちとの交流だったが、彼らは私に「恰好いい」記念日をプレゼントしてくれた。

2023年5月4日 記

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