―以下本日担当の元東芝原発技術者小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 「原発を武力攻撃から守ることはできないから、戦争はできない。

だから、自衛隊は持つていても使えない」と言うと、「自衛隊があれば、外国から攻められないための抑止力になるから使えなくても良い。

安心のための『保険』のようなものだ」と返してくる人がいる。

使えないことを認めながら、持っている方が安心だ、と言うのだ。

おかしな論理だが、この「自衛隊=保険」論は今の日本では結構幅を利かせている。

しかし、実際の生命保険や火災保険は、死亡したり、火事になったりすれば、契約時の保険金が遺族や被災者に支払われるが、戦争が起きた場合には「自衛隊=保険」があろうと、戦争による被害の補償はあるわけがない。

なぜなら、そんな契約が無いからだ。

先の「15年戦争」の敗戦後も軍人の遺族に対しては「軍人恩給」が支払われたが、一般国民は空襲で死亡しても遺族への補償は無かった。

しかも、今は日本の海岸線に50基以上の原発が並んでいる。

そのたった1基の原発の重大事故についての保険ですら、電力会社が契約しようと望んでも、受けてくれる保険会社が無い。

それは被害額が計算できないほど大きいからだ。

即ち、「自衛隊=保険」論はもっともらしく聞こえるが、現実には成り立たない典型的詭弁だ。

こんな詭弁におたおたしてはいけない。

2023年5月10日 記

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