―以下本日担当の小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 戦争を始めるのは人の意思によるが、誰の意思によるのだろうか。

古い時代の戦争もあるが、日本が当事国となった最新の戦争は、いわゆる「15年戦争」(1931年~1945年)だ。

1931年と言えば昭和6年、即ち、昭和天皇が主権者として日本を統治していた時代だ。

形式的には昭和天皇がこの戦争開始の意思決定をしたことになるが、実際はそうではない。

同年9月18日に日本の関東軍が奉天(現・瀋陽(シェンヤン))郊外の柳条湖で満鉄を爆破し、これを中国軍の行為であるとし、「自衛のため」と称して満鉄沿線一帯で軍事行動を起こしたのがきっかけだ。

政府は当初は戦線不拡大を方針としていたが、中国駐留の日本軍の独走により、遂には中国との全面的な戦争に突入して行くことになる。

拡大する度に昭和天皇が軍部の要請により、それを認める勅語を出して、天皇の意思による戦争という形式を取ることになった。

世間では

「戦争についての基本方針は軍部ではなく、文官で構成する政府が決める、シビリアン・コントロール(文民統制)が働くから、軍部が独走することはない」

などともっともらしいことを言う人間がいるが、日本ではそれが機能した実績はない。

歴史的には軍部が独走して、国家を滅ぼした実績があるのだ。

日本にとって軍部(自衛隊)は、ない方が安全なのだ。

2023年5月24日 記

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