―以下本日担当の小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 「ありがとうございます」とは私が一人デモを始めてから今までに、路上で出会った見知らぬ人々から、何度も聞いた言葉だ。

私が一人デモをしているのは、別に出会う人々に何か役に立つことや楽しませることが目的ではなく、ただ、今の日本の政治状況について自分の考えていることを書いたプラカードを胸と背に吊るして、それを人々に読んでもらいたいと思って黙って歩いているだけだ。

即ち、自分のためにやっているだけだ。

それなのに見知らぬ人々がなぜ近寄ってきてお礼など言うのか、最初は不思議に思った。

お礼を言われる時には「私も同じ考えです」とか「賛同します」という言葉も同時に言われるので、(私の代わりに意思表示をしてくれて、ありがとうございます)ということなのかもしれない。

お礼を言われて悪い気分にはならないが、内心(できたら、貴方も一人デモをやってほしい)と思ったりする。

一方、大勢の仲間が集まって行うデモなどで、街頭でデモを眺める人々から「ありがとうございます」と声がかかるだろうか?

少なくとも私が参加した大集会デモではそういう経験はなかった。

リーダーのハンドマイクによる発声に合わせて一斉にシュプレッヒコールをする様子は迫力があるが、その集団を外から見ている人々には威圧感を与えてしまう。

官邸前や議員会館前でのデモは文字通り、首相や国会議員たちに向かって自分たちの威力を示そうとするのだから、当然だ。

一人デモと大集団デモのどちらが庶民の中に浸透し易いかは自明だろう。

2023年6月7日 記

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