1990年代から書店に並び始めた戦場体験者の体験記を読んだことで私の戦争および軍隊の絶対悪視は不動のものになった。
私が銀行営業現場のトップとして飛び回った1980年代後半から1990年代前半はバブル経済の真っ盛りから崩壊への過渡期でもあった。
取引顧客のトップの多くが60代から70代で戦争体験者だった。
私が戦争と平和に関心のあることを知ってか仕事の場でも良く戦争体験を聞かされた。
丁度その頃私に40冊近い戦記物を送ってくれたのは1985年にご自身の満州航空兵からシベリヤ抑留までの兵役体験記「遥かなる大地」をまとめられた元トキナー光学の故水野皖司専務である。
銀行入りたての駆け出しのころのお取引先の経理部長だったが当時は東大法学部から学徒出陣された方とだけ伺っていた。
その水野さんが高齢者施設に入るのを機に蔵書を私に送ってきたのだ。
お手紙で読む本の順番迄ご丁寧にアドバイスされてきた。
その1冊目に読むべきとされたのが初代文化庁長官の今日出海さんの「山中放浪」―私は比島戦線の浮浪人だったー中公新書である。
銀行と聞くと単なる金融業と思われがちだが実は金融・経済を通じて社会のあらゆる層の幅広い顧客と接点がある。
本人がその気になれば多くの多彩な人々との人脈を築ける素晴らしい職業だ。
臨済宗龍源寺の松原泰道師、小説家の井伏鱒二氏,松本清張氏、清水一行氏、将棋の大山康晴名人、朝ドラ「らんまん」主人公牧野富太郎さんのご息女、世界連邦の構想の著者谷川徹三先生などとお会いできたのも皆銀行業務を通じてである。
さて水野さんの「遥かなる大地」今日出海さんの「山中放浪」の紹介は次回以降に譲る。
2023年7月6日 記
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花岡さんが、他の「護憲派」と比べ物にならないくらい卓越しているのは、その実社会での経験と、それに裏打ちされた見識による。(言いたくないが、他の「護憲派」は「左翼崩れ」が多く、一般の会社では使い物にならないような連中ばかりだ。)特に今回の投稿は、日経新聞しか読まない人々、経団連に所属する企業の幹部やNHKの心ある記者に読んでいただきたい。他の「護憲派」が書く文章と違って、(良い意味で)即物的であり、有無を言わせぬ説得力がある。