―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―
私が病気になった時にはたいがい何らかの自覚症状がある。
発熱、痛み、咳、目まい、吐き気、下痢、出血、など実に多様な症状を自覚し、その症状を解消するために自ら努力をする。
安静にしたり、お医者にかかったりする。
結果はともかく、身体の異常を放置することはない。
これに対して、私たちの社会が異常な状態、即ち、「社会的病気」になった場合はどういうことになるだろう。
これは空想ではない。
今の日本はまさに社会的病気の真最中だからだ。
経済的格差が広がり、低賃金で不安定な非正規雇用労働者がこの20年で大幅に増えてしまった。
貧困のために十分な食事も与えられない子どもたちが増えている。
障害を持つ子どもたちの面倒を見る人々に自立した生活ができる報酬を与えることができないほど、福祉予算が不足している。
その一方で、使うことのできない軍備のためには惜しげもなく予算を増やしている。
即ち、社会的病気を治療するどころか、ますます病状がひどくなるようなことを日本政府はやっている。
しかも、そんな政府が何回選挙をしても変わらず、交代もしない。
これはもう、社会的病気が極めて重篤な状態に陥っていると言わざるを得ない。
症状を自覚するのは頭脳だが、社会は、個人のような一つの頭脳ではなく、人口と同じだけの複数の頭脳を持っている。
社会的病気が快復できるかは、この複数の頭脳が社会の病状を自覚することができるかにかかっている。
2023年8月22日 記
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