―以下元東芝原発技術者の小倉志郎さんの寄稿文引用―

 最近、「トリチウム」と言えば、ニュースでも友人・知人との会話でも耳にタコができるほど聞いたことがあるだろう。

東電福島第一原発(1F)で汚染水を浄化システムで浄化しようとしているが、トリチウムは水素と化学的性質が同じなので除去できない。

国内外に多数の反対の声が上がっているにもかかわらず政府と東電はトリチウムを含む汚染水の海洋放出を始めてしまった。

中でも中国政府の反発は強烈で、日本の全水産物の輸入禁止に踏み切った。

日本政府は「中国の主張は科学的でない」と批判するが、日本政府も安全性を科学的に証明していないのだから、その論争はお互い様だ。

「中国の原発が放出しているトリチウムの方が1Fから放出するトリチウムより多いじゃないか」という批判まである。

元々トリチウム自体がベータ線を出す危険な放射性物質なのだ。

ならば、日本政府は「(1Fからの)放出を陸上保管に変更するから、中国の原発からのトリチウムの放出を止めよ」と要求すれば、中国は大いに困るはずだ。

しかし、それを主張すれば、日本の全ての原発からもトリチウムを環境へ放出できなくなり、全ての原発の運転を停止しなければならなくなるから言えない。

欧米の原発保有国が日本の海洋放出を是認しているのは、それを知っているからだ。

真の脱原発派こそ、中国の主張を支持し、世界の全原発の運転停止を目指すべきだ。

2023年9月21日 記

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