―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 「天災は忘れた頃に来る」とは寺田寅彦(1878~1935)の言葉と言われている。

地震・津波・洪水・大火など自然現象による大災害はいつ起きるか不明で、前回から次に起きるまでに相当の年数を経ることが多いので、被害の痛みを忘れてしまい油断している頃にまた同じような被害を受けてしまう。

短い言葉ながら、人間の習性を的確に表現している。

しかし、これは「天災」のみならず、「人災」についても当てはまる。

その実例は戦争と原発事故だ。

第一次世界大戦(1914~1918)を経験した直後は各国の人々は二度とこんな苦しみを味わいたくないと思った。

しかし、21年後に第二次世界大戦(1939~1945)を起してしまった。

これらは私たち人類が起こしたことだ。

しかも、時間が後になるほど兵器の破壊力が増えて、被害の規模は桁違いに大きくなった。

ウクライナ戦争が始まって1年余りになるが停戦の兆しはなく、何時まで続くか分からない。

当事国および支援諸国の誰かの判断ミスにより、一挙に第三次世界大戦に拡大する可能性が常にある。

寺田寅彦の言葉の後ろに、私は「人災も忘れた頃に来る」と続けたい。

原発事故の場合はもっと悲しい。

3・11フクシマ事故が終息の見通しがなく新たな被ばくという被害が発生し続けていて、忘れる閑もないのに、政府と電力会社は再稼働させている。

これでは「人災は忘れる前に来る」と私の前言を修正しなければならない。

2023年10月7日 記

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