―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―
1週間ほど前に、自宅から15分ほど歩いた所にあるホームセンターに、風呂の湯沸かし装置を修理するための部品を買いに出かけた。
いつものように、私のトレードマークのようになったプラカード「原発を並べて自衛戦争はできない」を胸に、「自衛隊を戦争のための部隊から災害救助即応隊にしよう」を背中に吊るしてである。
目指す部品を買い終えて、広いホームセンター内の通路を様々な商品を見ながらゆっくり歩いていたら、前から歩いて来てすれ違いそうになったきちんと和服を着こなした老婦人が私の胸のプラカードをじっと見ながら立ち止まって、話しかけてきた。
私も立ち止まっていったい何を言われるのかと思ったら、「私は82歳です」と言う。
えっと思いつつ、「私も82歳です。同じ歳ですね」と答えた。
すると「私の孫の小学4年生が言うのです。『戦争が終わらないのは、両方が欲しがり過ぎるからだよ』って。
小学生もそこまで考えるのですね」と言う。
「そうですか、立派ですね」と私。
立ち話はそれだけで、お互いに名前も聞かずに別れたから、どこの誰かもわからない。
ただ、どこかの家庭で祖母と孫の小学生とがそんな対話を実際にしているという事実がわかったのは貴重な体験だった。
こんな体験ができたのは、見やすいプラカードを吊るしていたおかげだと思いながら歩いて帰宅した。
2023年11月1日 記
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