「新版 自衛隊も米軍も、日本にはいらない」の最新の書評をご紹介する。
この書評は部落解放同盟の月刊誌「部落解放」の2024年2月号掲載予定である。
筆者はジェンダーフリー・人権弁護士として著名な角田由紀子さんだ。
やや長文だが本日と明後日の2回に分けて掲載させていただく。
-以下引用その1ー
衝撃のタイトルの現実性―戦争ではなく平和の準備を
2023年11月29日 角田由紀子
東京新聞が毎年8月に読者から募集した「平和の俳句」を発表している。
作家のいとうせいこうさんと俳人の夏井いつきさんがえらんだ入選句を毎日1句ずつ紙面で紹介する。
ある日目にしたのは「皆の者銃を握るな、手を握れ」というものであった。
作者は名古屋市の15歳の寺沢大登さんだった。
年齢からして中学生と思われる。
「武器いらぬ中村哲に続く蟻」吉田咲衣さん(74歳)という句もあった。
庶民は誰もが平和を求めているのだ。
花岡蔚(しげる)さんの本書に接したとき、その斬新なタイトルに一撃を受けた。
そして上記の平和の句を思い出した。
ウクライナ、ガザと続く現実の戦争の報道に毎日さらされている今日この頃だ。
日本人の中にはこれらの状況の中で何となく不安に駆られ、やっぱり軍事力が必要ではないかと思った人も少なくないだろう。
そこへこの直球のタイトルである。
自衛隊も米軍も大多数の人にとっては生まれた時から存在していた疑うこともない存在だ。
それらは「普通にあるもの」だと思い込まされていた。
本書はまずタイトルでその思いこみをひっくり返す。
確かに自衛隊も米軍もその歴史を見れば、アメリカによって押し付けられたものだ。
自衛隊は朝鮮戦争勃発を受けてアメリカが日本の駐留部隊を朝鮮に派遣して手薄になった日本防衛のために作らせたもの。
米軍は安保条約によって日本に居座ることがみとめられたものだ。
実は安保条約10条は、一方の国が廃棄を通告すれば1年後に条約は自動的に終了すと定めている。
この大事な規定はほとんど国民には知られていない。
まるで永遠に続くかのように思いこまされている。
ただ今の政府がそのようなことをするとは期待できないのも現実だ。
自衛隊は国内法の問題だから、それを廃止し組織替えすることは簡単ではないとしても可能性はある。
「日本を守っているこの二つをなくしたら日本は安全ではなくなるのではないか」との心配があるのも事実だ。
まず、米軍の問題だ。
米軍がいなくなったら日本は中国やロシアや北朝鮮に攻撃されるのでないかとの不安には本書は理性的にこたえる。
米軍は日本を守るために駐留しているのではないことはアメリカ政府にとっては(日本政府にとってもか)自明の理だ。
ただ、実態を良く知らされていない日本人はアメリカ軍の駐留は日本人を守るためと誤解しているだけだ。
―以上引用その1終わりー続くー
2023年12月6日 記
お知らせ 日本による敵基地先制攻撃82周年記念日、12月8日の毎日新聞と9日の東京新聞に添付の大型広告を掲載します。
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