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半世紀後の今、ウクライナ戦争を利用して便乗値上げがまたぞろ横行しているようだ。九州電力が昨年10月分から、110万件にのぼるオール電化住宅向け電気料金の上限を勝手に取り払ったこともそのひとつだろう。九電は原発稼働のおかげで家庭向け規制料金を値上げせずに済んでいると吹聴しているが、その陰で同じ家庭向けのオール電化は値上げしているわけだ。上限廃止のせいで我が家は10月から今年1月だけで合計2万1338円も負担が増えた。九電はオール電化契約者から200億円以上かすめ取った計算になる。

ある九電従業員が私にこぼした。「私がすすめて実家をオール電化にしてもらったので、電気代にびっくりした親父が怒っていました。医療機器で24時間電気を使っているので大変です」オール電化の契約は期間が1年で毎年4月に更新する。燃料価格の変動に合わせて電気料金の単価が決まるが、利用者保護のため上限が設けられていた。九電は、本当に困っているならともかく、ウクライナ後の昨年6月に株主に100億円以上配当し、今もテレビCMを頻繁に流している。純資産は6000億円にのぼる。少なくとも今年3月まで契約を守れないはずはなかった。資産6000万円の金持ちが200万円の借金を踏み倒しているようなものだ。政府は消費者の電気料金の負担軽減策として電力会社に支援金を出しているが、電力会社に支給するのが本当に妥当なのだろうか。今年度、九電を含めて多くの電力会社が最高益を予想している。実は、この上限廃止を巡って九電と裁判をしている。原告は契約名義人である同居の義母、私はその代理人を務めた。11月22日に下された一審判決は残念ながら予想通り敗訴だった。判決は九電の主張をなぞるばかりで、九電が提出した書面にあった誤字と同一の誤りが複数あったのは笑えた。それも、この訴訟のキーワード「定型約款」を「定款」と誤っていた。こちらが主張した契約期間や株式配当などの問題には一言も触れず、完全無視を決め込んでいた。悲しいかな、司法は大企業の傍若無人を止めてくれない。

ー以上引用おわりー

2023年12月26日 記

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