―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―
世間では、「言葉を持つ動物は人類だけ」と言われているが、厳密にそう言えるか、私は疑っている。
私が住む街で見かけるカラス・猫・犬の鳴き声を良く聴くと、その声は多彩であり、お互いに何かコミュニケーションをしているような印象を受けるからだ。
しかし、残念ながら、彼らの声から単語、文法、および意味を解明することができていない。
一方、私たち人類は声のみならず文字まで備えた言葉を持っていて、日々情報を言葉で表現してお互いにコミュニケーションを行っている。
それによってすべての問題が解決するなら良いのだが、解決しない場合には、戦争まで起こしてしまうのだから、人類は厄介な動物だ。
人類以外で、武器を使って戦争をする動物などいない。
人類が戦争をする場合は大抵、ある国が軍隊を使って他の国を攻めることで始まるが、攻める国も反撃する国も「自国が正しい、相手国が悪い」と言葉の応酬をして、決して戦争を止めようとしない。
双方の多くの国民が死傷し、生活基盤が破壊された挙句に、一方あるいは双方の戦闘能力が失われるまで戦争が続く。
おかしくないか?
コミュニケーションの道具として便利な言葉を持つ人類同士が戦争を行い、言葉を持たない野生動物たちが平和に暮らしていることを。
私たち人類も数百万年前のご先祖さまたちは野生動物と同じように言葉を持たずに平和に暮らしていたはずだ。
その頃のご先祖さまたちの心の持ち様を、一人ひとり胸に手を当てて思い出そう。
2024年1月4日 記
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