―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 報道によれば、能登半島大地震の結果、北陸電力志賀原発の近くから能登半島の先端地域まで海岸が最高4メートルも隆起して、海岸線が沖に200メートル前後退いたとのこと。

原発敷地内ではなかったが、もし、原発の敷地内でこのような大きな地盤の動きがあったら、原発はもう発電所の体をなしていなかっただろう。

なぜなら広い敷地の中に、原子炉建屋、タービン建屋、放射性廃棄物処理建屋、非常用冷却水タンク、非常用ディーゼル発電機用燃料タンク、海水機器建屋、送受電用変圧器、送受電用大型スウィッチなど重要な設備が存在し、それらは無数の配管やケーブルでつながっているからだ。

敷地内の地盤がメートルオーダーの移動を行うとすれば、無数の配管やケーブルがズタズタに切れることは容易に想像できる。

そうなれば、ほとんどすべての安全系のシステムは機能を喪失してしまう。そもそも既設の原発が設置される地盤は地震時には振動すれども、移動をすることなど設計条件に入っていない。

今回のような地盤の移動が日本中のどこでも起き得るとすれば、日本の全ての原発は一刻も早く運転を止めて廃炉にするしかない。

今や、安全性が保証されず、経済性も無い原発の利用を各電力会社は止めたいというのが本音のはずだ。

ただ、言い出しっぺには成りたくないのだ。

北陸電力は自分の原発で新知見が得られたのだから、堂々と「原発利用を止めます」と言える条件に恵まれた。

日本で最初に脱原発を成し遂げた電力会社だという名誉まで得られる絶好のチャンスだ。そのチャンスを逃すな!

2024年1月12日 記

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