―以下小倉志郎さんの寄稿文の引用―

 市民運動の情報のやり取りをみていると、発信者は「拡散してください」と書き、受信者の返信には「拡散しました」と「拡散」という言葉が常用されている。

ずーっと前からこの言葉がしっくりこなかった。

物理では水の中に絵具を一滴落とすと絵具が水の中に広がって行く様子を拡散と呼ぶから「広がる」という意味ではあるが、落とした点から遠ざかるにつれて、絵具の濃さは薄くなり、距離が遠くなれば色も見えなくなってしまうからだ。

市民運動の情報は人から人へ伝わるうちに情報の内容が薄まっては困る。

(たと)えるなら、野火のように一本の草から回りの草へと火は広がるが距離が遠くなっても火の強さは変わらない。

これを「燎原(りょうげん)の火」と言うが、この火の伝わり方を私は「伝播(でんぱ)」と書いたりしているが、これもあまりしっくりこない。

昨年3月坂本龍一さんが亡くなり、「声を上げる。上げ続ける。あきらめないで、がっかりしないで、根気よく。社会を変えるには結局、それしかないのだと思います」と言う言葉を残された。

その通り、毎日、脱原発や憲法9条改悪反対の声をSNSや一人デモで声を上げ続けているが、なかなか世論に反映するほど広まらない。

反対勢力によるマスメディアを駆使する宣伝が強力なせいもあるだろう。

しかし原発事故再発および戦争を防ぐためには自公政府を批判、非難するだけでなく主権者である国民に向けた宣伝にもっと力を入れる必要がある。

2024年3月14日 記

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