「攻撃は最大の防御である」とはスポーツ競技などでよく使われる言葉ですが「敵に勝つためにはただ守っているだけでは駄目、攻撃を加えるのが防衛の最善策」と国家安全保障上の鉄則としてもよく使われます。安倍元首相以来岸田首相に受け継がれている「敵基地先制攻撃能力保有必要論」もこの流れです。

当たり前のことですが世界に攻撃しかしない「専攻攻撃軍」も攻撃を一切せず専ら守るだけの「専守防衛軍」も存在しません。世界中に現存する軍隊はすべて異口同音に自国の軍隊は専守防衛の軍隊と称していますがもしそれが本当なら世界に侵略戦争など起こる筈がありません。(本書60、82,124ページ)今日は本書「自衛隊も米軍も、日本にはいらない」非武装中立日本の実現のための工程表(その3)の予定を変更してPA呼びかけ人のおひとり、小倉志郎さんの「かなり多くの護憲派と称する人たちが冒している大きな誤り」についての寄稿を掲載いたします。この誤りこそが全国の「9条の会」や護憲派の活動が日本国憲法の前文や第9条を文字通り体現し真の平和国家を建設する成果を上げていない大きな原因(障害)になっていると私自身も思っています。

以下、小倉志郎氏の投稿

「自衛隊は『専守防衛』ならOK」は二重の誤り

 自国の防衛どころか、同盟国の米軍の支援のためなら海外で軍事行動を行うのもOKとする自民党や公明党などは問題外であるが、自称・他称を問わず「護憲派」と言われる人々の中に「自衛隊は『専守防衛』ならOK」と唱える人が多い。つまり、「専守防衛」という言葉が軍事力である自衛隊を保持することの「免罪符」の役割を果たしている。「免罪符」と言う意味は何か?それは憲法9条の「陸海空軍はこれを保持しない」という文言に完全に違反している「憲法違反」という「犯罪行為」を国民の目から隠蔽するためにいたる所で使われているからだ。

 二重の誤りとは次の通り。

1.どんなの形容のし方をしようが、軍事力である自衛隊は憲法違反であるから、これをOKとすることは立憲国家として許されることではない。護憲派がこれをOKするのであれば、護憲派自身が「解釈改憲」をしていることになる。これでは自民・公明の「解釈改憲」を批判するのは詭弁屋が詭弁屋を嗤うに等しい。

2.憲法違反の文言上の問題を脇に置いたとして、いざとなった時に自衛隊が「専守防衛」をすることができるのか?という現実の問題がある。海岸線に50基以上の原発を並べた日本において、原発が攻撃をされた場合、自衛隊だろうが、米軍だろうが、軍事力で守ることは不可能だ。その理由は、既に本HPに投稿した記事「日本にとって軍備はまったく役に立たない」(2021年9月19日)に説明済である。

 よって「専守防衛」などという言葉を本当の護憲派は使ってはいけない。そして、まったく役に立たない軍備は、憲法の文言通り持ってはいけない、ということを肝に銘ずべきだ。

2021年10月8日 記(小倉志郎)

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