本日の担当はピースアゴラ呼びかけ人のおひとりで元読売日本交響楽団、ドイツ・ハンブルグ交響楽団,ベルリン交響楽団のフレンチホルン奏者として活躍された藤田史郎さんです。一昨日の私の投稿についてのドイツ在住40年、ヨーロッパ事情にも明るい藤田さんの初寄稿コメントをお読みください

―以下藤田史郎さんの寄稿文引用―

2021年11月21日の花岡さんの記事 ”洗脳されているのはどちらなのか” を興味深く読みました。「中帰連平和記念館」の存在や活動も初めて知りました。講演者石川教授のご意見に私も賛同します。花岡さんはドイツのワイツゼッカー大統領が行った謝罪演説について触れておりました。戦争責任、加害責任の認罪について一国の大統領が国際社会に向けて謝罪をすることの意味はとてつもなく大きいと思います国のトップである政治家の謝罪が日本とドイツでなぜこうも違うのかを人生の半分以上をドイツで暮らした者として肌感覚で感じたことを少し述べてみます。

ドイツと日本は同じ敗戦国でしたが、戦後はそれぞれの形で見事な復興を果たしました。日本は経済大国への道をひたすら歩む事となりましたが、その影で歴史認識をおろそかにしてしまったようです。教科書問題でも明らかなように、過去の歴史を真っ直ぐに見つめることを避け、都合の良い部分だけを教科書に載せるような行為でも明らかです。未だに解決を見ない慰安婦問題にしても南京大虐殺にしても問題の本質を、強制があったか否かとか、人数が間違っているなどのディテールにすり替えているように思えてなりません。日本の諺で「旅の恥はかき捨て」とか「過去を水に流す」などともよくいいますが、日本人は過ぎ去った事は直ぐ忘れてしまいたいと言うような遺伝子を内に持っているのでしょうか?

一方ドイツは300万人ものユダヤ人の虐殺と言う重い過去もあり学校教育に於いてもメディアを通じても、過去の過ちを繰り返すまい、決して忘れまいという意気込みが伝わってきます。未だにテレビではことあるごとにホロコーストの映像を流しています。“これでもか、これでもか・・・と言わんばかりに”です。勿論国際ユダヤロビーや近隣諸国からの圧力の影響もありますが基本的にはドイツ人の高い倫理観と心からの反省から来ていると私は感じています。ワイツゼッカーの演説ばかりでなく昨年9月1日にワルシャワで行われた「ポーランド共和国・第2次世界大戦開始80周年記念式典」に於ける独・シュタインマイヤー大統領の演説も高い倫理感からでたものと思われます。同大統領は全世界に向けて「この戦争はドイツの犯罪です。」と告白し「私はドイツの大統領として、ドイツの首相とともにポーランド国民の皆様に申し上げたい:我々は決して忘れません。我々はドイツがポーランドに加えた傷口を忘れません。我々はポーランドの人々の苦しみとそれに劣らぬ彼らの反抗心への勇気を忘れない。我々は決して忘れません(ニグディ ニエ ザポニミィとポーランド語でも語りました)。そして、私はドイツが犯した歴史的犯罪に赦しを請います。」とはっきりと謝罪しています。

なんという違いでしょうか!日本のトップも罪を認め事実を認め、詫びるべきは詫びる勇気と深い人間愛を持って欲しいものです。

2021年11月23日勤労感謝の日に  記 藤田史郎

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